米国との戦争で耐久力を示してきたイランだが、指導部は国内の不満の高まりに神経をとがらせている。トランプ米大統領が追加の経済制裁を打ち出せば、国民生活は一段と悪化し、抗議行動が再燃する恐れがある。イスラム共和国体制の正統性も、これまで以上に揺らぎかねない。

ベセント米財務長官は13日、翌週にもイランに対して「かつてない」措置を講じると発言。翌14日にはトランプ氏が、米国はイランに対して経済的に厳しい打撃を与えると表明した。米政府は、具体的な措置の内容を明らかにしていない。

イラン指導部は約6カ月に及ぶ紛争に耐え、世界的な石油輸送の要衝であるホルムズ海峡を事実上封鎖するなど強気の姿勢を崩していない。ただ3人の当局者によると、全国規模の騒乱に発展しかねない圧力が高まっているという。ロイターは今回、イランの当局者3人、政界関係者2人、元政府関係者1人、そして十数人の市民に話を聞いた。多くは報復への懸念や報道機関への発言権限がないことを理由に、匿名を条件に取材に応じた。

戦争開始以前からイランは高インフレや通貨安、エネルギー不足、各国の制裁など、根深い構造的問題を抱えていた。インフラの損傷や貿易の停滞、生産減少、復興費用といった重い負担がそこに追い打ちをかけている。

中部イスファハンに住む2児の父アルシアさんは、土木技師としてイランの建設業界で10年働いてきた。しかし、2月28日の米国・イスラエルによる攻撃で戦争が始まると、建設事業の大半は停止状態に追い込まれた。事業の延期や中止が相次ぎ、コストも急騰する中、アルシアさんは職探しに苦しんでいる。早期回復の見込みはほとんどない。「不安だ。トランプ氏が制裁を強化すれば、市民はどうやって暮らしていけばいいのか。軍事的にも経済的にも自国が罰せられるのは望まない。私たちは既に苦境にある」

苦境はイラン全土に