Takaya Yamaguchi

[東京 5日 ロイター] - 高市早苗政権は5日、飲食料品の消費税減税に向けた基本方針を閣議決定し、2027年4月の減税に舵をきる。ただ、財源論は宙に浮き、政権内には経済成長に伴う高税収頼みという楽観ムードも漂う。成長投資への国の負担や防衛費増額もあり、財源を巡る議論は年末にかけ「三重苦」の様相を帯びそうだ。

<介入後も市場身構え>

「今、この段階では、いろんな財政需要がある。(減税財源について)これと、これですということは言えない」――。閣議決定に先立つ2日、城内実経済財政相はNHKの番組でこう述べた。年末の予算編成を通じ「しかるべきタイミングでしっかり確保する」とも語ったが、財源論を巡る懸念は、なお絶えない。

減税財源に関しては与党、自民党内からも異論が出た。

石破茂前首相は3日、日本の消費税率は際立って低いとの認識を示した上で、「少子高齢化は世界でトップ。財政は世界で一番悪い」と指摘。減税に伴う、約5兆円の穴埋めが見通せないことへの不満を隠さなかった。

経済界からは「代替財源を明確に打ち出し、市場の信認を得ることが不可欠」(日本商工会議所の小林健会頭)との声が上がる。減税そのものは評価する一方で、産業界には「巡りめぐって、法人税引き上げにつなげられる警戒感」があると、政府関係者の1人は語る。

「明確なのは安易に赤字国債に頼らない」ということだけだと、別の関係者は言う。補助金の見直しや税外収入の積み上げといった歳出・歳入両面での調整を今後、急ぐ。

年末にかけては2040年度までの官民投資370兆円の負担に加え、防衛3文書改定に伴う防衛費増額の協議が重なる。官民投資を巡り、政府内には「官民で2対8が相場」(前出とさらに別の関係者)との声もあるが、実際のところどう着地できるは見通せない。

歴史的な日米協調介入を経てもなお、市場は「財政懸念​につなが⁠るリスクが絶えない」(ニッセイ基礎研究所の上野剛志・主席エコノミスト)と身構える。「年末にかけた円安、金利上昇圧力は、なかなか収まりそうにない」と上野氏は語る。

<鍵握る金利動向>

日米両政府が7月31日、円買いとしては1998年6月以来28年ぶりの協調介入に踏み切ったことで、円相場は一時1ドル=155円台に上昇、足もとでは157円台で推移している。

一方、長期金利の指標となる新発10年債の動きはさえない。

4日の取引で一時2.870%に上昇する現状を踏まえ、「自然体で行けば(次年度予算の想定金利が)4%前後になりかねない」(経済官庁幹部)との声もくすぶる。

想定金利は、危機時に必要とされる1.1%を直近の水準に加算して算出する。26年度想定は3%だった。財務省によると、金利が1%上昇すれば、27年度の国債費は8000億円増える。

年末の予算編成時には、政策金利が1%超となっていることも予想され、金利の先高観が衰えなければ、さらに負担が膨らみかねない情勢だ。

長期金利が想定を超えて推移すれば、確実に政策経費を圧迫する。協調介入に応じたべセント米財務長官が日本の長期金利上昇に懸念を示す中、首相が看板政策を遂行できるかどうかは、金利動向も左右しそうだ。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。