研究チームは、父親の食事と新生児の体脂肪量との間に直接的な関連は確認されなかったものの、父親の食習慣が胎児の発育の特定の側面に影響を与えている可能性を示していると結論づけた。
この影響は「エピジェネティクス」と呼ばれる仕組みを通じて生じると考えられている。これは、DNAの配列そのものは変えずに、遺伝子の働き方だけを変化させる生化学的プロセスだ。
その鍵となるのが、父親から受け継がれ、胎児の発育を促す「IGF-II」という遺伝子だ。過去の研究では、不健康な食事や肥満が「DNAメチル化」という現象を引き起こし、この遺伝子の働きを変化させてしまうことが示唆されている。
興味深いことに、母親と父親の食生活は、新生児の発育に対してそれぞれ異なる影響を与えていた。
父親の超加工食品の摂取量が多いと出生体重が重くなる傾向があったのに対し、妊娠初期の母親が超加工食品を多く摂っていた場合は、逆に出生体重が軽く、身長が短くなり、頭囲も小さくなる傾向が見られた。
研究チームは、こうした対照的な結果については、父母それぞれの健康状態が異なる生物学的ルートを通じて胎児の発育に作用しているためだと分析している。
ただし研究チームは、今回の調査が小規模であり、食事内容も直接観察ではなく、参加者の記憶に基づく自己申告によるものである点について注意を促している。また、父親の食事調査が妊娠中に行われ、それを妊娠前の食習慣の代替として用いている点も、研究の限界として指摘されている。
そのため、今回の結果を「超加工食品が新生児の体型の変化の直接的な原因だ」と断定することはできず、慎重な解釈が必要だ。
それでも研究チームは、妊娠前の健康管理や家族計画において、父親を巻き込むことの重要性を強く訴えている。
今後、より大規模な研究で裏付けられれば、「男性が父親になる前の食生活が、子どもの健康の出発点に影響を与える」という見方が定着する可能性がある。
Reference
Carvalho, M.R., Miranda, D.E.G.A., Baroni, N.F., et al. (2026). A higher paternal ultra-processed food consumption is directly associated with parameters of neonatal anthropometry. Nutrition Research, [online] 151, pp.16–25. doi:10.1016/j.nutres.2026.04.015.
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