Mikhail Flores Nestor Corrales
[マニラ 27日 ロイター] - フィリピンのマルコス大統領は27日、議会における施政方針演説で「私は家族のための大統領でも、友人のための大統領でもない。フィリピン国民の大統領だ」と述べ、親族が関与したとされる汚職疑惑について捜査を進める考えを改めて示した。
問題となっているのは、総額数十億ペソ規模の治水事業を巡る不正疑惑。マルコス氏は昨年、同事業で広範な不正があったとの疑惑を公表し、政治家や政府関係者へのキックバック(還流)疑惑が浮上した。疑惑には、いとこのロムアルデス前下院議長も関与したとされており、同氏は議長職を退いた。
マルコス氏は演説で「私にとっては痛みを伴うが、正しいことをしなければならない」と述べ、汚職撲滅への取り組みを継続すると強調した。一方でロムアルデス氏は声明で不正への関与を否定した上で「いかなる訴追にも対応する準備ができている」と述べた。
フィリピンでは物価上昇や生活費高騰への不満が高まる中、汚職問題を巡る政府の説明責任にも厳しい目が向けられている。世論調査会社パルス・アジアの調査では、マルコス氏の支持率は低下し、不信感を示す回答も過半数に達した。
フィリピン大学のジーン・エンシナスフランコ教授はマルコス氏の発言について、身内であっても責任追及を進める意思を示した点で政治的に重要だと評価しつつも、実際に訴追が行われるかどうかで政権は判断されると指摘。「言葉だけでなく行動が問われる」と語った。
議会周辺では数百人規模の抗議デモが行われ、汚職の責任追及に加え、物価引き下げや賃上げを求める声が上がった。
2028年に任期満了を迎えるマルコス氏は、物価高対策として労働者向け所得税減税の拡充や、中小企業に課される最低法人所得税の廃止を議会に求めた。
また演説では、中国を名指ししなかったものの南シナ海を巡る問題にも言及。「フィリピン国民は屈しない」と述べ、16年の仲裁裁判所裁定から10年を迎えたことに触れながら、同海域でのフィリピンの権利を主張し続ける考えを示した。中国は同裁定を認めていない。