Danial Azhar Rozanna Latiff
[クアラルンプール 27日 ロイター] - マレーシア当局は27日、首都クアラルンプールの国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)前に集まり保護を求めていたミャンマー出身のイスラム教徒少数民族ロヒンギャの難民・保護希望者100人超を拘束した。
現場の目撃者によると、これらの人々は同日午後8時30分ごろに荷物とともに警察のトラック4台に乗せられ連行された。警察幹部はロイターに対し、身元確認などのためクアラルンプール警察本部に移送したと説明した。
拘束された人の中には女性や子どもも含まれていた。難民希望者の話では、北部ペナン州で地元住民から住居退去を求められ、26日に家を追われたため、UNHCRに第三国定住などの支援を求めようと夜行バスで首都を訪れた。
一方ペナン州の警察は、ロヒンギャ住民が州政府や連邦政府、国家安全保障会議の支援を受けて「自発的に」クアラルンプールへ移動したと説明した。地元警察幹部は声明で「地域内のロヒンギャ人口増加に伴う経済的、領域的な競合が移送の背景にあった」と述べた。
マレーシアでは5月以降、ロヒンギャを標的としたヘイトスピーチや偽情報がインターネット上で増加し、地域社会で嫌がらせや監視強化の動きが広がっている。
アンワル首相は27日、UNHCR前にロヒンギャの人々が集まったことについて「市民の懸念を招いている」と指摘し、適切な滞在許可を持たない者は入国管理当局に拘束されると警告するとともに「誰にも市内の一部を占拠する権利はない」と付け加えた。
人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)のブライオニー・ラウ・アジア副部長は「ロヒンギャ難民は常に摘発や捜索の脅威にさらされている。政府は家を追われた難民の保護を優先すべきで、拘束によってさらに恐怖を与えるべきではない」と批判した。
2月末時点でマレーシアにおけるUNHCR登録のロヒンギャ難民は約12万6000人だが、人権団体は未登録者も多数存在すると指摘している。
妻や子どもとともに27日未明にUNHCR事務所へ到着したロヒンギャ難民のサイード・カシムさんは「誰もわれわれの問題を助けてくれなかった」と訴えた。カシムさんはマレーシアで20年間暮らしているという。
UNHCRは先週、ロヒンギャなどの難民を標的としたオンライン上のヘイトスピーチや偽情報、人間性を否定する言説の増加に懸念を表明し、差別や嫌がらせを助長する恐れがあると警告していた。
イスラム教徒が多数派のマレーシアは、長年にわたって仏教徒が多数を占めるミャンマーで迫害を受けたロヒンギャの避難先と見なされてきた。ただコロナ禍以降、ロヒンギャに対し「感染拡大の原因」や「雇用を奪う存在」といった批判が強まり、受け入れ環境は厳しさを増している。