<交通機関の垣根を飛び越えてシームレスな移動を目指すMaaSが、世界的に注目されている。50都市に進出する計画で、自律走行車の普及にも役立ちそうだが、先駆者であるWhimにもまだ課題がある>

※2019年2月19日号(2月13日発売)は「日本人が知らない 自動運転の現在地」特集。シンガポール、ボストン、アトランタ......。世界に先駆けて「自律走行都市」化へと舵を切る各都市の挑戦をレポート。自家用車と駐車場を消滅させ、暮らしと経済を根本から変える技術の完成が迫っている。MaaSの現状、「全米1位」フォードの転身、アメリカの自動車ブランド・ランキングも。
◇ ◇ ◇

移動手段としては、電車やバス、自転車、さらには徒歩など、もっと安いものや空間効率の高いものがたくさんある。むしろ、さまざまな手段や事業者を統合して、検索から予約、支払いも一度に済ませることができれば便利ではないか。それがMaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス=サービスとしての移動)の概念だ。

MaaS先進国のフィンランドでは、MaaSグローバル社のアプリ「Whim(ウィム)」が2017年11月から首都ヘルシンキでサービスを提供している。Whimには公共交通機関のほか、タクシー、自転車や自動車のシェアリングサービスなどさまざまな企業が参加。アプリで行き先を検索して経路を選んだら、複数の移動手段の予約や支払いをまとめて済ませることができる。月額49ユーロまたは499ユーロの乗り放題プランもある。

タクシーが来ないから電車に変えるなど、移動中に問題が生じたらWhimのカスタマーセンターが対応する。MaaSグローバルによると、2018年10月までに約180万件の利用があった。

MaaSが世界的に注目されるようになり、Whimはベルギーのアントワープと英バーミンガムでもサービスを開始。シンガポールでも近く本格的に稼働し、2020年までに50都市に進出する計画だ。

アメリカではウーバーやリフトがいち早くMaaSに賛同し、定額プランや、自転車など車以外のシェアリングサービスを展開している。リフトの定額プランは月299ドルで30回まで利用できる。将来的には、同社が提供している自転車や乗り捨て可能の電動スクーターのシェアリングサービスも利用できるようになるだろう。

MaaSのユーザー基盤は、AVを普及させる格好の手段になる。定額プランに追加料金を払ってAVのシェアリングを利用できるようにするなど、AVを都市の交通網に組み込みやすいだろう。

MaaSの利便性が高まれば、自家用車の代わりに配車サービスやカーシェアリングを利用する人が増えて、駐車場として使われている都市部の貴重な空間を有効活用できる。

【関連記事】自動運転で都市はこんなに変わる 駐車場は48%削減──ボストンの挑戦

ヘルシンキの交通利用全体の0.5%