[ヨハネスブルク 22日 ロイター] - 南アフリカは国内でデータセンターが急速に増加し、アフリカ最大のデジタル拠点としての地位を確立しつつある。一方で、こうした施設が大量の電力や水を必要とすることから、既に多くの国民を悩ませている資源不足をさらに深刻化させるのではないかとの懸念も高まっている。

ラマポーザ大統領は今月、データセンターの増加について、国家安全保障や企業活動にとって不可欠だと高く評価しつつ、この分野の発展に際しては人権や環境への配慮が欠かせないとの認識も示した。

アフリカ最大の経済大国である南アは、国際海底ケーブルとの接続を含む高度なデジタルインフラを備える。その結果、アフリカ大陸のデータセンターの70%が同国に集中しており、クラウドコンピューティングや人工知能(AI)を支えるサーバー群の拠点となっている。

マイクロソフトやアマゾン・ドット・コムといった米IT大手も、南アにおけるクラウド・AI関連インフラに数十億ドル規模の投資を約束。米調査会社アリズトン・アドバイザリー・アンド・インテリジェンスが3月にまとめた報告書では、同国のデータセンター市場は2031年までに現在の2倍超となる50億ドル規模へ拡大する見通しだ。

しかしデータセンターはサーバーを稼働させるために大量の電力を消費し、さらに冷却用として多くの水が欠かせない。南アでは近年、気候変動に伴う干ばつや老朽化した電力網の影響で、水や電力の供給不足が問題となっており、データセンターの拡大がこうした課題を悪化させる可能性が指摘されている。

データセンターはたとえ小規模でも数千世帯分に相当する電力を消費し、1日に数十万リットルの水を必要とする場合がある。

<米国との違い>

ヨハネスブルクの工業地帯にある、南ア最大のデータセンター事業者テラコ・データ・エンバイロメンツの施設内は、まるで映画「チャーリーとチョコレート工場」のセットのような光景だ。光沢のある金属パイプや色とりどりのケーブルが張り巡らされ、サーバーラックが整然と並び、低い機械音が絶えず響いている。

テラコのサステナビリティー責任者を務めるブライス・アラン氏は、南アのデータセンターは世界の大型施設に比べて規模が小さく、AIモデルの学習を主目的としていないため、資源消費の大きい技術を必要としていないと説明する。

アラン氏は、米国のテキサス州やカリフォルニア州などで住民による反対運動が起きている状況とは大きく異なると指摘。「米国ではAIブームによってギガワット(GW)級の巨大プロジェクトが次々と発表され、蒸発冷却方式による膨大な水使用が問題になっている。AIが南アに進出すると聞くと、多くの人が米国の例をそのまま当てはめて考えてしまう」と語った。

蒸発冷却方式ではサーバーを冷やすために常に新しい水を供給する必要がある。ただテラコは水を循環利用する「閉ループ冷却システム」を採用している。

アラン氏の話では「30メガワット(MW)規模のデータセンターが閉ループ冷却システムを利用した場合、年間の水使用量は平均的なレストラン1店舗と同程度にとどまる」という。

また米国では数千のデータセンターが合計約17GWの電力容量を持つのに対し、南ア国内には50カ所以上のデータセンターが存在するものの、その総容量は350MWに過ぎず、世界全体の1%未満にとどまる。

アラン氏は、一部の事業者が将来的な設備能力を実際以上に大きく見せているとも批判。

「こうした『ブラガワット(誇張された電力容量)』は誤解を生む。実際には、データセンターが公表された能力の半分程度に達するまでにも何年もかかる」と明かした。

テラコは現在、南アフリカの送電網から電力供給を受け、非常用としてディーゼル発電機を所有。フリーステート州では120MWの太陽光発電所を建設中で、来年の稼働開始後は余剰電力を送電網にも供給する予定だ。

同社は来年末までに使用電力の70%を再生可能エネルギーで賄い、35年までに100%再生可能エネルギー化を目指している。

<政府は経済成長に必須と強調>

南アでは、データセンターがクリーンエネルギーを利用することが、電力や水資源への負担を軽減する上で重要になるだろう。

18年には、貯水池の水位低下によりケープタウン市が「デイ・ゼロ(蛇口から水が出なくなる日)」の到来を警告し、厳しい節水措置を導入した。また23年には老朽化した電力インフラに需要が追いつかず、政府は全国的な計画停電をほぼ毎日実施せざるを得なくなった局面もあった。

ただし、この状況は現在かなり改善している。国営電力会社エスコムは、トムソン・ロイター財団に対し、現時点でデータセンター需要による送電網への大きな圧力はなく「既存需要には十分対応できている」と回答した。

マラツィ通信・デジタル技術相も、データセンターが電力や水資源の競合を激化させるとの懸念を政府は重く受け止めていると述べた。

その上で、負荷の大きい処理作業を電力需要の少ない時間帯に実行することや、水消費を大幅に抑える閉ループ液体冷却システムの採用など、業界内では既に対策の導入が加速しつつあると説明した。

南アは環境面で持続可能なデータセンターの推進を国家方針としており、マラツィ氏は地域社会との公平性を重視した「公正なエネルギー移行」が国としての重要な目標だと強調した。

それを踏まえて同氏は「データセンターは経済競争力の維持に不可欠だ。金融サービスやクラウドコンピューティング、さらには今後10年間の経済活動を左右するAIシステムを支える基盤であり、雇用創出にもつながる幅広いデジタルエコシステムを支えている」と述べた。

一方、市民団体はデータセンター建設に関する情報公開や地域住民との協議の拡充を求めている。

米データセンター大手エクイニクスによる新施設計画をケープタウン市が先週承認したことについても、一部の活動家から批判の声が上がった。

テクノロジーの社会的責任を訴える非営利団体フォックスグローブでAIインフラ問題を担当するダニエル・ハートフォード氏は「まるでゴールドラッシュのような状況になっているのが懸念を誘う一因だ」と話す。

フォックスグローブは、施設の水使用量に関する情報が十分開示されていないとして、エクイニクスの計画に反対している。

ハートフォード氏は「国内の電力需要を考えれば、これほどエネルギー集約的な産業が成長する際には、何を優先するのかという議論が必要になる」と訴えた。

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