Nora Eckert
[ソロン(米オハイオ州) 21日 ロイター] - 米クリーブランド南部ソロン。一見、何の変哲もない工場で、自動車製造における「脱中国」というサプライチェーン(供給網)大転換の取り組みが行われている。
この工場を所有するのは、2025年終盤に創設された電子機器メーカーのイーグル・ワイヤレス。バイデン前政権下の25年、ネットに接続する「コネクテッドカー(つながる車)」に関し、中国の部品やソフトウエアを使用した車両の輸入・販売を禁止する規則が導入された。この規則では、27年モデルから中国製ソフトの使用が、30年モデルからはハードウェアの使用が禁止される。自動車メーカーは何年も前から車両プログラムを計画しているため、早急に規則に準拠したサプライヤーを確保しなければならない。
イーグル・ワイヤレスは、車両が外部とワイヤレス通信できるようにする小型回路基板であるモジュールの設計について、中国の移遠通信(クエクテル・ワイヤレス・ソリューションズ)からライセンス供与を受けて事業を開始した。デンビンスキー社長は「われわれには大きなチャンスがある」と述べた。同社は、30年という期限までの自社技術として確立するという課題と、生産規模の拡大に取り組んでいる。
<課題はコスト>
部品供給を中国から切り替えることは、通常、大幅なコスト増を意味する。デトロイトの自動車メーカー元幹部は、LiDAR(ライダー)を含む中国の技術を使用した自動運転システムと、中国以外のシステムとのコストを比較した際、ショックを受けたと語った。
規則で最も影響を受ける部品には、衛星通信システム、外部アンテナ、その他車両の外部通信を可能にするマイクロコントローラーなどがあると、イーグル・ワイヤレスのアドバイザーを務めるマット・ウィックハウス氏(ファイナイト・ステート最高経営責任者)は説明した。同社も中国製並みにコストを下げようとしているが、依然として5%─15%の価格差があるという。
中国のサプライヤーからの脱却は、物流上の課題ももたらす。部品サプライヤーの幹部らによると、自動車メーカーは米国の規則に違反するような中国製部品がないことを確認するため、サプライチェーンのより詳細な可視化を求めているという。
主要自動車メーカーを代表する業界団体、自動車イノベーション協会(AAI)の政策担当シニアバイスプレジデント、ヒラリー・ケイン氏は、コネクテッドカー規則は「サプライチェーンの綿密な調査と、積極的なコンプライアンスのスケジュールを求めている」と述べた。
リビアンのような新興電気自動車(EV)企業は、サプライヤーの変更がより柔軟に行うことができるため、大手よりは規則の順守がしやすい立場にあるとしている。同社のソフトウェア責任者であるワシム・ベンサイド氏はロイターに対し、提携するサプライヤーを慎重に選定しており、地政学的な混乱に備えてバックアップを組み込むことが多いと語った。
一部メーカーは規則の適用除外を求めている。ロイターの取材によると、フォード・モーターは、一部の中国生産モデルの輸入を継続するための許可を要請している。