シリアの司法制度にも問題が
「皮肉なのは、処刑を求める家族と、行方不明者の真相を知りたい家族が、多くの場合は同じだということだ」と、人権派弁護士のブロディは言う。
シリアに関連する戦争犯罪裁判は、これが初めてではない。この10年以上、ドイツやスウェーデン、フランス、オランダなど、容疑者を拘束した欧州各国の裁判所は有罪判決を言い渡してきた。
ドイツ西部コブレンツでは、ダマスカス近郊ヤルムーク地区の包囲戦をめぐって5人の男が裁判を受けている。民間人を意図的に飢餓状態へ追い込む行為を戦争犯罪として裁く、世界初の訴追だ。しかしシリア側は、こうした裁判を国内でシリア人裁判官の下で開き、被害者遺族が自ら法廷で正義が実現される様子を見届けられるようにしたいと考えている。
だがここでも、シリアの裁判で死刑が科される可能性が問題となる。欧州のほぼ全ての国は、被告が処刑される恐れのある国への身柄引き渡しを禁じているため、拘束した容疑者をシリアへ送還できない(アサド自身はロシアへ逃れ、ロシアは引き渡しを拒否している)。
もう1つの課題は、シリアの司法制度そのものだ。アサド時代の裁判官は、多くが国外へ逃れたか職を追われた。しかも現行の刑法には、人道に対する罪や戦争犯罪、指揮官責任を問う犯罪が明記されていない。
実際、ナジブ裁判を担当するファフル・アル・アリアン判事も13年にアサド政権を離反し、欠席裁判で死刑判決を受けた。アサドが国外逃亡した後、亡命先からやっと帰国した。
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