Emma Farge Olivia Le Poidevin Simon Lewis David Brunnstrom
[ジュネーブ/ワシントン 20日 ロイター] - トランプ米政権(共和党)はこの数週間、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)からの脱退を検討していると外交官、援助関係者、議会関係者を含む8人の情報筋がロイターに明らかにした。これを受け、外交官や国連当局者らは米国に対して支援を継続するように説得している。
トランプ大統領は2期目で国連機関への資金提供を削減しており、世界保健機関(WHO)など国連に関係した数十の機関から脱退した。トランプ政権の当局者らは、難民保護の取り組みを後退させるよう他国にも促している。
米国はUNHCRの最大の資金提供国となってきた。複数の情報筋はトランプ政権が先週中にUNHCRからの離脱を決定すると予想されていたが、発表がなかったことから、ロビー活動によって延期や回避につながった可能性もあると示唆した。
UNHCRは戦争や迫害、暴力から逃れる難民を支援するために第二次世界大戦後に設立された。情報筋のうち5人は、トランプ政権が離脱を検討しているのは副高等弁務官の任命を巡る対立が背景にあると指摘した。
この対立はUNHCRが6月、ケリー・クレメンツ国連難民副高等弁務官の後任に米国人外交官のトレッサ・レイ・フィナティ氏が任命されたことで生じた。
米国はクレメンツ氏の後任として、UNHCRが「大規模な移民政策」を追求していると非難してきた元外交官のサイモン・ハンキンソン氏を支持していた。これに対し、国連のアントニオ・グテレス事務総長とバルハム・サーレハ高等弁務官はフィナティ氏を選出した。
敗れたハンキンソン氏はロイターに対して「もしもUNHCRが改革、すなわち実際の難民を支援するというUNHCR本来の使命への回帰、そして予算と支出の綿密な精査を望んでいたのならば私が適任だった」とし、フィナティ氏について「従来通りの運営しかできない」と主張した。
ロイターはフィナティ氏からのコメントを得られなかった。
5人の情報筋によると、UNHCRは資金提供国に対し、UNHCRが米国のブラックリストに載せられ、資金提供が打ち切られる可能性があると報告。また、米国がUNHCRの執行委員会からも脱退する可能性があることを伝えていた。
外交官や援助関係者は、ウクライナやスーダンなどの戦闘が長期化して世界の難民が過去最高水準に迫る中で、米国からの資金提供が途絶えればUNHCRの機能は著しく弱体化すると指摘した。
ある外交官は、UNHCR当局者が資金提供国に対して先週、米国とのあらゆる外交ルートを活用して支援継続を要請するように求めていたと明らかにした。
UNHCRの報道担当者は、コメント要請に応じなかった。国連のステファン・デュジャリック報道官は「この件に関する情報は持っていないため、コメントを差し控える」と語った。
米国務省の報道官は、米国とUNHCRの関係には何ら変化はないとして「他の多くの国際機関と同じく、米国の外交政策上の利益を推進したり、人命を救ったりするのに有益である場合にはUNHCRとの協力や、UNHCRを通じた活動に取り組む」と言及。その上で「わが国は、国際機関での米国の役割の評価を続ける」とコメントした。