[マニラ 20日 ロイター] - フィリピンは20日、南シナ海アユンギン礁(セカンド・トーマス礁)で中国海警局の職員がフィリピン海軍要員1人の頭部を木製の棒で激しく殴打したと非難した。フィリピン国防省は、中国による「挑発的かつ敵対的な行動」を示す事案だとした。中国側はフィリピンが挑発したと反論した。
フィリピンの首都マニラでは今週、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の会合が開かれ、中国の王毅外相も出席する予定で、南シナ海問題が議題に上る見通しだ。
フィリピン軍によると、8人が乗った中国海警局の複合艇が、セカンド・トーマス礁で座礁したフィリピン軍艦に接近し、写真や動画を撮影した。フィリピン海軍のボート2隻が中国船を追い払おうと動いたところ、中国側の職員が「木製の棒でフィリピン海軍職員を殴打し、暴力的かつ攻撃的に反応した」という。公開した25秒間の動画では、中国海警局の8人のうちの1人が、近くにいたボートに乗るフィリピン海軍の乗員を殴打する様子が確認できる。
フィリピン軍は「人民解放軍および海上民兵を含む中国海警局に対し、西フィリピン海における違法で威圧的、攻撃的かつ欺瞞(ぎまん)的な行動を中止し、国際法の下でフィリピンの合法的な海洋権益を認めた2016年の仲裁裁判所の判断を順守するよう求める」と述べた。
これに対し、中国海警局は声明で、フィリピン船舶が繰り返しの警告を無視し、危険な形で中国の巡視船に接近して衝突したとし、先に攻撃を仕掛けたのはフィリピン側だと反論した。
声明は「フィリピン側の要員は、パドルや木の棒などの道具を使い、中国の法執行官を攻撃的に殴打した」と主張。中国側は警告を発し、船舶周辺で操船を行い、均衡の取れた対抗措置を取るなど、最大限の自制を行使したとした。
中国海警局はまた、フィリピンが事実を歪曲(わいきょく)し、中国に対して虚偽の非難を行っていると批判。「侵害行為、挑発行為、虚偽の宣伝を直ちに停止する」よう要求した。
中国国営紙の環球時報が20日夜に公開した49秒の動画では、双方の要員がパドルや棒を振り回して対峙(たいじ)する中、中国側の職員が「中国海警局だ、直ちに立ち去れ」と叫ぶ様子が確認できる。
米国務省は、今回のフィリピン海軍要員に対する中国の「危険かつ攻撃的な」行動を非難した。同省報道官は「フィリピンの合法的な海洋活動に対する中国の挑発的な行動パターンは、地域の平和と安定を損ない、紛争を平和的に解決するとの中国の再三の約束と真っ向から矛盾する」と表明した。