Leika Kihara

[東京 16日 ロイター] - 元日銀審議委員の安達誠司氏は、ロイターのインタビューに応じ、長期金利が3%を超えると政府が日銀に対して国債買い入れの増額を要請する可能性が高まると述べた。財政の持続可能性の観点から、政府にとっては3.0―3.5%が「死守ライン」だとした。

一方、日銀の利上げについては、あと1回で政策金利が1.25%に到達すれば出口戦略が終わると話し、それ以降は、自然利子率やインフレ率などから適正な政策金利の水準を導く「テイラールール」をもとにした「平時の金融政策」に移行するとの見通しを示した。

安達氏は、足元の長期金利上昇の要因は「完全に財政プレミアム」だとし、政府債務の対GDP(国内総生産)比率は確かに低下しているが「市場は現在ではなく将来の財政規律について極めて不安視している」と述べた。長期金利は9日に一時2.900%を付け、1996年9月以来の高水準となった。

長期金利が3%を超えてくると、財政の持続性を示す「ドーマー条件」が「中期的に守れるか厳しくなる」と述べた。ドーマー条件では、名目成長率が国債利回りを上回っていれば財政は持続可能だとされる。安達氏は、実質成長率1%に2%のインフレを足せば名目成長率が3%となるため、3―3.5%程度が財政の持続可能性を維持するための「死守ライン」だと指摘した。

日銀は、長期金利は市場で形成されることが「基本」とする一方で、長期金利が急激に上昇する場合には国債買い入れを増やすなど機動的に対応する方針を示している。安達氏は長期金利の上がり方次第で、政府から国債の買い入れ増額を要請される可能性があるとした。日銀が国債買い入れを金融政策と切り離して考えていることも「政府にとって好都合」と語った。

<中立金利は「1.25%程度」>

日銀の金融政策運営については「あと1回利上げし、政策金利が1.25%に到達すれば出口政策は終わる」と述べた。出口戦略が終われば、テイラールールに基づく平時の金融政策に移行し、「政府の物価高対策の影響を加味したインフレ率で考えると、おそらく1.5%くらいまで利上げするのではないか」と予想した。

安達氏は「輸入物価上昇の影響が消費者物価に出てくるのがおそらく秋か冬になる」として、次回利上げは「10月から来年1月にかけてのどこかではないか」と予想。その後は来年1回、場合によっては2回、原油市況の動向次第で利上げが行われるとの見方を示した。

安達氏は、物価目標実現時の名目中立金利は「おおむね1.25%程度」とみている。日銀が1.25%に利上げする際、「緩和の調整」という表現がなくなれば「政策金利はほぼ中立金利に達しており、今後は金融を引き締めてインフレを抑制するというスタンスに入ったことになる」とし、情勢次第で利上げのピッチが上がる可能性があると述べた。

このインタビューは15日に実施しました。

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