Phil Stewart Idrees Ali

[ワシントン 15日 ロイター] - 米国による最近の対イラン攻撃は、ホルムズ海峡の通航確保を目指すとともに、将来的な大規模軍事作戦に備えてイラン軍の能力を事前に弱体化させる狙いがある。3人の米政府高官が明らかにした。

トランプ大統領は先週末にイランとの軍事衝突の正式再開を議会に通知した後も、今後の対応について明言を避けている。ただ3人の高官の話では、一連の攻撃を通じてトランプ氏が検討可能な軍事的選択肢は拡大した。

米国とイスラエルによる2月28日以降の軍事作戦でイラン軍は大きな損害を受けたものの、依然として相当規模のドローン(無人機)やミサイル戦力を維持し、通航中のタンカーやペルシャ湾岸諸国に対する攻撃も続けている。

こうした中で米軍の最近の空爆は、イランの防空システム、沿岸レーダー、ミサイル・ドローン関連施設のほか、小型艇など海上戦力が標的となった。

米政府高官の1人はこれらの攻撃について「将来、より大規模な作戦が命じられた場合に備えた環境を整備する作戦だ」と説明した。

米国防総省はコメント要請に回答がなかった。

<追加軍事行動の選択肢>

ロイターは3月、米軍がホルムズ海峡の安全確保を目的にイラン沿岸部への部隊投入を含む複数の軍事的選択肢を検討していると報じた。またイランの石油輸出の約90%を扱う積み出し施設があるカーグ島への部隊派遣案も議論されたという。

もっとも同島への作戦にはイラン本土からのミサイルやドローン攻撃の危険が伴うとされる。

トランプ氏は14日、過去の攻撃で軍に対しカーグ島の石油施設を攻撃しないよう命じていたと明らかにした一方、同島を掌握する可能性について排除しなかった。

同氏はFOXニュースのインタビューで「十分な規模と深さで相手の能力を低下させることができれば、そうするだろう」と発言した。

また同氏は、イラン首都テヘラン近郊の主要核施設付近にある地下深くの核関連施設「ピッケルアックス・マウンテン」への攻撃も示唆している。

戦略国際問題研究所(CSIS)のマーク・キャンシアン氏は、カーグ島占領などの軍事オプションに言及するトランプ氏の姿勢に関して「外交面ではイランへの圧力となる半面、軍事面では作戦の方向性を相手に明かすことになる」と一長一短だとの見方を示した。

<戦術的成果と戦略的停滞>

トランプ政権の対イラン作戦批判派は、イラン軍や防衛産業基盤に大きな損害を与えた点では戦術的成果があったものの、イランから重要な譲歩を引き出せておらず、戦略的には奏功していないと主張している。

さらにこの戦争によってイランは世界の原油輸送量の約2割が通過するホルムズ海峡への影響力を強めたとの見方も出ている。イランは通常戦力の海軍が大きな損害を受けた後も、ドローンやロケット弾を用いて商船を攻撃する能力を保持しているためだ。

複数の米政府高官は、こうした状況を受けてトランプ政権内では今後の対応を巡る議論が続いていると説明。別の高官はヘグセス国防長官が対イラン軍事作戦の拡大を支持していると明らかにした。

元米国防総省高官で現在はシンクタンクの大西洋協議会に所属するイムラン・バユーミ氏は「トランプ氏の最近の発言は、交渉でイランに圧力をかけるとともに、次の行動を読ませない狙いがあるようにみえる」と分析した。

その上で「発言と実際の行動は分けて考えるべきだ。大統領と安全保障チームの協議内容は、オンライン上の発信とは異なると想定される」と述べた。

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