そんな落ち込みに襲われるたび、私は自分が今も生きていて、家族と一緒にいられることがどれほどありがたいことかを自分に言い聞かせる。これからも息子と一緒にたくさんの思い出を作り、母親であり続けられる。その事実が、いつだって私を奮い立たせてくれる。

手術以来、私は集中的な理学療法に励み、脚と体幹の筋肉を鍛えてきた。義足の完成を待つ間、電気刺激療法やバランス感覚の訓練を重ねた。

現在は、再び歩く練習をしており、移動能力は少しずつ向上している。義足を使ってかなり自由に動けるようになり、家族と一緒にできることも増えた。もっとも、今でも激しい痛みが残るため、車椅子で過ごす日もまだある。

心臓は、信じられないほど順調だ。健康を維持し、筋力をつけるために定期的な運動を欠かさない。実は、今年のはじめ頃は「自分は生き延びられるのだろうか」とさえ思っていた。それが5月には、義足を履いて10キロレースを完歩するまでになったのだ。同じような境遇にある人たちに希望を与えたいと考え、英国心臓財団のために7575ポンド(約160万円)の寄付金を集めることもできた。希望を持つ理由は常にどこかにある。時に私たちに必要なのは、前を向き続けるためのほんの少しのきっかけなのだ。

私がすべての人に伝えたいメッセージは、周囲に何と言われようと、どれほど困難に思えても強い意志を持って取り組めば、どんなことだって成し遂げられるということだ。

臓器提供は極めて重要で、もし可能であれば、臓器提供の意思表示をすることをぜひ考えてみてほしい。その選択が多くの命を救い、誰かに人生をやり直すチャンスを与えることになるのだから。

ジョディ・ヒギンス(34)は、英リバプール在住。心臓移植を受けて以来、臓器提供の啓発活動を行うとともに、四肢切断後の生き方についての理解を広める活動を行っている。SNS(@jodie_heart_transplant_journey)を通じて自身の力強いストーリーを発信し、諦めないことの大切さを人々に伝えている。

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 最強AIを生んだ アンソロピックの衝撃
2026年7月21日号(7月14日発売)は「最強AIを生んだ アンソロピックの衝撃」特集。

ペンタゴンが狙う世界最強AIクロード・ミュトス。「生みの親」アンソロピックは人類の守護者か、破壊者か

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます