今世紀初頭、ペイパル、テスラなどを立ち上げた稀代の夢想起業家イーロン・マスクが6月12日、スペースXを上場。1日で12兆円相当を集め、同社の企業価値は280兆円に跳ね上がった(トヨタは約40兆円)。同社の株を持っているマスク自身も、初の1兆ドル資産家(トリリオネア)となった。
これはバブルだ、やりすぎだ、と思った。ところが6月27日、ロボットやAIなど有望なものに手早く目を付け、名を上げてきたピーター・ディアマンディスという米起業家が「1000兆ドル経済の未来」と題する論考を発表。マスクの資産は正当で、いま起きていることは一つ次元の高い「宇宙経済時代」の予兆だと述べたのだ。
彼によれば、プシケという小惑星(火星と木星の間にある)はプラチナ系の鉱物に富み、1000京ドルの価値がある。これを地球に持ってくるだけでも、16世紀に新大陸の金銀が西欧に流入した以上の効果をもたらすだろうというのだ。
その途上には水を豊富に持つとされる月や火星があり、この水を太陽熱発電で得た電気で電気分解して水素を取り出し、これを燃料に飛ぶことができる。宇宙にサプライチェーンを広げ、人間も送り込めば、宇宙人口1兆人となるのも夢ではない。モーツァルトやアインシュタインのような天才も輩出され、人類は繁栄する──という。
ばかなことを、人口ベースが大きくなればトランプ米大統領のような人間も輩出されるから、人類は安泰ではない、と思うのだが、マスクなどは「燃え切った1段目ロケットが落下して、元の発射台に収まる」という驚天動地の思い付きを今や実用化してしまったのだから、いつかは起きることなのかもしれない。