Takahiko Wada Leika Kihara

[東京 10日 ロイター] - 日銀が30、31日に開く金融政策決定会合で議論する「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、今年度の経済成長見通しを引き上げる可能性があることが分かった。中東情勢が緊迫化する中でも原材料の代替調達が進んだことに加え、人工知能(AI)関連需要の強さが経済を下支えするとの見方が出ている。

原油市況の大幅下落を踏まえ、物価見通しは引き下げられる可能性がある。ただ、代替調達に伴うコスト増やAI需要の影響、円安進展などで物価上振れリスクへの警戒感は引き続き強く、利上げを継続する方針は維持するとみられる。複数の関係筋が明らかにした。

先月1.0%に引き上げた政策金利については、維持するとみられる。

前回4月の展望リポートでは、2026年度の実質国内総生産(GDP)の見通しは前年度比0.5%増だった。重要物資の代替調達の進展で景気の下振れリスクが後退しているほか、AI関連需要の高まりが経済の下支え要因として意識されており、前回見通しから小幅に上方修正される可能性がある。

9日の支店長会議後の会見で、藤田研二大阪支店長(理事)はAI関連需要に関し「幅広い好影響が当面持続するとみている」と述べた。

物価については、前回展望リポートでは26年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の見通しは前年度比プラス2.8%だった。6月半ばの米国とイランの戦闘終結の覚書合意後の原油市況の大幅下落の影響を反映し、見通しを小幅に引き下げる可能性がある。ドバイ原油は4月展望リポートの公表時点は105ドル付近だったが、足元では3割程度も下落している。

もっとも、日銀では基調的な物価上昇率が2%を超えて上振れていくリスクへの警戒感が根強い。

原油市況が大幅に下落したとはいえ、企業が代替調達を進めている中では従来よりも輸送コストや保険料などがかさんでいるとみられ、日銀では、企業の原油調達価格は市況ほどには下落していないとの見方が出ている。6月入り後の円安進展が物価の上押しにつながりかねないほか、AI関連需要の高まりによる半導体など関連部材の価格上昇も物価上昇要因とみられている。このため、利上げ継続の政策指針は維持する可能性が高いという。

中東情勢緊迫化の影響を受け、飲食料品の値上げは夏場にかけて本格化する。日銀では、値上げによって物価がどこまで伸び率を高めるか、その程度が次の利上げタイミングを見極める上で重要になる、との声が聞かれる。

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