Greg Torode

[香港 10日 ロイター] - 中国が6日に南太平洋に向けて実施した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験について、中国の進化する核抑止力の中で最も複雑で機密性の高い運用の一端を軍指導部が検証する機会になったとアナリストや外交官らが指摘する。

中国が軍の近代化を進める中で、最も重視する要素の一つが、第2撃能力の確保と地域の駐在武官やアナリストは指摘する。SLBMは、先制攻撃(第1撃)を受けた後に対抗するための第2撃能力となる。そこで課題になるのは、SLBMを搭載した潜水艦を、いかに敵に探知されずに運用するかだ。

シンガポールのS・ラジャラトナム国際研究院の安全保障研究者、コリン・コー氏は「この点は、ミサイルと潜水艦の実際の技術的能力を見極めることに加えて、間違いなく相当程度検証されたはずだ」と指摘。「まだ課題は残っているが、実戦的な攻撃能力の獲得に近づきつつあるようだ。米本土を攻撃できる位置に到達できなくても、グアムやハワイを標的にできることを示そうとしたのだろう」と語った。

核搭載潜水艦が探知されずに活動できれば、敵の第1撃で地上配備型兵器が破壊された場合でも、反撃することができる。紛争において核兵器の先制不使用を公式方針としてしている中国にとって、これは特に重要な要因だと見なされている。

6日のミサイルは、弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)と呼ばれる中国の094型原潜6隻のうちの1隻から発射されたとアナリストや専門家は指摘する。中国国営メディアは、SSBNから発射したと報じたが、型式は明らかにしていない。

発射されたミサイルは最新の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「巨浪3(JL-3)」とみられている。JL3は、1万キロの射程を持つが、米本土を射程に収めるには、潜水艦が南シナ海を越えて西太平洋へ進出する必要があり、その過程で他国軍に探知されるリスクが生じる。094型原潜は、現在開発中のより高性能で静粛な型に、いずれ置き換えられるとアナリストは言う。

米国防総省は2022年の報告書で、中国のSSBNがほぼ継続的な抑止哨戒活動を開始したと指摘した。米シカゴの研究機関「原子力科学者会報」は今週公表した中国の核兵器に関する研究で、中国のSSBNが実際に核兵器を搭載して哨戒活動を行っていると米当局者は公には述べていないものの、一部の米当局者が非公式に認めたと述べた。

中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は論説で、6日のミサイル発射実験は、陸・海・空から核兵器を発射する戦略戦力「核の三本柱」を中国が継続的に強化していることを示したとし、「これにより、外部勢力とその追随者は、最大限の軍事的圧力や先制攻撃を通じて中国に譲歩させようとする試みを放棄せざるを得なくなり、大規模紛争のリスクは根本的に低減する」と主張した。

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