Naomi Rovnick

[ロンドン 9日 ロイター] - 欧州連合(EU)の金融システムのマクロ的な監督を担う欧州システミックリスク理事会(ESRB)が、域内の経済と銀行に対して急成長するプライベートクレジットが及ぼすリスクについて調査を進めている。ESRBの諮問委員会メンバー、リチャード・ポルテス氏がロイターに明かした。

ポルテス氏は、ESRBが新たに立ち上げた信用市場タスクフォースの共同議長も務めており、調査ではプライベートクレジットが景気循環の中で果たす役割に焦点を当てるとしている。

具体的には、金融市場の混乱が発生した際にプライベートクレジットがショックを拡大・伝播させる可能性や、欧州の金融システムとの相互連関性を分析する。

ポルテス氏は「ESRBやマクロプルーデンス当局が懸念するのは、こうしたつながりだ。どこに相互連関が存在するのかを把握したいが、現時点では十分な情報がない」と述べた。

プライベートクレジット市場は、2008年の金融危機後に銀行融資が縮小したことを受け、プライベートエクイティー(PE)ファンドによる買収資金の供給源として拡大を始めた。その後、高リスク企業向けの主要な資金調達手段へと成長し、利回りを求める投資家の資金を呼び込んできた。

約3兆1000億ドルに達している市場規模は、伝統的な銀行業界と比べればなお小さい。一方で、融資審査基準の質や透明性の不足を巡る懸念が指摘されている。

ESRBはこれまでも定期的な監視報告書でノンバンク金融機関の脆弱(ぜいじゃく)性に警鐘を鳴らしてきたが、今回の調査結果を踏まえて改めて規制当局への提言を行う可能性がある。

ポルテス氏は「ESRBは欧州証券市場監督機構(ESMA)、欧州委員会、あるいは各国当局に対し、法的権限を活用してプライベートクレジットを規制するよう勧告する可能性がある」と説明した。

ESRBの勧告に法的拘束力はなく、監督当局が従う義務はない。

当局はこれまで、十分なデータが存在しないことや、規制対象外である業界に情報開示を強制できないことから、プライベートクレジットの銀行に対する潜在的なリスク評価に苦慮してきた。

イングランド銀行(BOE、英中央銀行)は7日公表の金融安定報告書で、プライベートクレジットに起因するシステミックリスクが高まっていると警告。欧州中央銀行(ECB)は5月、最近の市場混乱がユーロ圏全体のシステミックリスクには発展していないとの見方を示しつつ、一部の金融セクターではリスクが高まっていると指摘した。

欧州安定メカニズム(ESM)も6日、プライベートクレジット市場の急成長をユーロ圏の金融システム上の脆弱性の一つに挙げた。

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