Libby George
[ロンドン 10日 ロイター] - 政府系ファンド(SWF)は地政学的な同盟関係の変化を受け、投資リターンに加え、強靱なインフラや国内主要産業といった国家戦略上の優先課題を一段と重視するようになっていることが、10日公表の調査で明らかになった。
スペインのIE大学が実施した調査によると、運用資産が15兆ドルを超えるSWFは、各国政府が人工知能(AI)や半導体を戦略資産と見なす傾向が強まる中、AIへの資金提供で存在感を高めている。
報告書の編集を担当し、IE大学でソブリンウェルス研究責任者を務めるハビエル・カパペ氏は「分断された世界が影響を及ぼしている」とし、「SWFは、政府が国家戦略を展開し、世界のバリューチェーンでより強固な地位を築くために活用される場面が一段と増えている」と述べた。
調査では、案件が大型化する傾向も示された。直接投資の件数は前回集計期間から17%減の391件となった一方、投資総額は同大学の2024年報告書と比較して91%増の4040億ドルに急増した。
カパペ氏によると、AI関連投資は調査で追跡した投資額の約3分の1を占めた。スターゲート、オープンAI、データブリックスなどが、長期の投資期間を持つ政府系投資家から資金を集めた。
投資先として最大のシェアを占めたのは米国で、AIへの注力を追い風に2204億ドルを集めた。ただカパペ氏は、2025年12月までの18カ月間の直接投資を追跡した今回の調査について、SWFの投資は公表されていないものも多いため「氷山の一角」しか捉えていないと指摘した。
湾岸諸国やノルウェーなどエネルギー資源国が多額の投資を行ったが、案件数ではシンガポールのテマセクが71件で首位だった。
カパペ氏は「非市場的要因の重要性が、冷戦終結以降のどの時期よりも高まっている」とし、「われわれは新たなパラダイムに入りつつあり、SWFはその変化の一翼を担っている」と述べた。