華やかなイベントの一方で、陰の部分も
そして何よりも、商業性の高いこれらの作品は集客にも大きく貢献した。今年は長編映画コンペティション部門の『我々は宇宙人』や、新作『攻殻機動隊 THE GHOST INTHE SHELL』のワールドプレミアなど20本以上もの日本作品が公式上映された。
日本アニメ側の思惑もある。今年は、東映アニメーションが映画祭併設マーケットのオープニングレセプションのスポンサーになった。映画祭スタッフTシャツは日本アニメ配信プラットフォームのクランチロールが提供。ネットフリックスは、今回初めて日本作品に特化した紹介イベントを開催した。
日本アニメを世界に送り出す企業や団体が、アヌシーの持つ求心力を積極的に活用。業界に影響力を高めたい映画祭と、映画祭を世界進出の足掛かりにしたい日本アニメの関係者の、両者の思惑が一致した。
ただ華やかなイベントの一方で、陰の部分も見逃してはいけない。企業名や有名人ばかりが目立つようになり、かつてほどインディーズの作品に注目が集まらなくなっている。アニメーション文化のハブ機能を一つの映画祭だけが独占することも懸念される。一つの視点からだけで見ることで、かえって多様性を阻害することにならないか。
いま日本政府はコンテンツの世界進出に大きな力を入れている。その手段としてアヌシーのような海外のイベント、インフラばかりが利用される。そこは欧米中心の評価軸になりがちで、日本は選ばれるのを待つばかりだ。日本が文化の普及を目指すのであれば、日本自身が評価軸を持ち、作品と人を集め、インフラを整えて世界に発信することも重要なはずだ。アヌシーの成功は、そんなことを考えさせられる。