不正確な紹介状、「病院ショッピング」の患者
法的な規制を受けないブローカーはしばしば医療機関に無理を言って損害を与える。医療従事者に不当に書類提出を強要するなどは相当に現場に負荷を与える行為だが、そんなのはまだかわいい方で、悪辣な業者となると日本の健康保険制度を悪用する。患者にとって適切な治療が妨害されることも珍しくない。(151ページより)
こうした“残念な国際医療コーディネーター”は、仕事ができて患者に信頼され、医療機関との意思疎通もスムーズな“質のよい国際医療コーディネーター”にも悪影響を与えてしまうことになる。その結果、円滑に機能している信頼関係にひびが入る可能性もあるわけだ。
紹介状が必須であるにもかかわらず、「紹介状がなくても受診できるか」などと聞いてくることもあれば、患者の医療情報が不正確な「紹介状」を寄越してくることもある。残念なことに国際医療コーディネーター本人が書いたのではと疑うような代物が提出されることさえある。医師や医療従事者がチェックしたとは思えぬそうした文書は検査データが羅列されているだけだったり、主観的な文章ばかりで正確な医療情報と言うにはほど遠く、本来であれば医療機関に渡すレベルではないものが平然と提出されたりする。(152ページより)
また、ブローカーだけでなく、医療ツーリズムを利用する患者自身の問題も絡んでくるようだ。母国の健康診断で引っかかったという段階の、まだ「病気ではない人」や、とても軽い病気の人が大病院に診察を求めてくる一方、現地の医療機関で匙を投げられた患者が一縷の望みをかけて日本を訪れたりもするのだという。
母国で病状を把握できていなかったケースや、診察の間中、60分以上かけて持論を力説する患者もいるのだとか。さらには、観光名所のように病院を渡り歩く「病院ショッピング」をする患者も。