「医療渡航支援企業」と「国際医療コーディネーター」
とはいえ医療ツーリズムは、著者の言葉を借りるなら「劇薬」でもあるようだ。決して差別的な意味ではないが、さまざまなトラブルが生じていることも否定できないからだ。
オーバーツーリズムから不法滞在、生活習慣の違いがもたらすトラブルなど外国人問題は多岐に及ぶが、医療の現場もそれは同じ。例えば、不法滞在者や健康保険未加入の外国人による未払いが病院の財政を圧迫し、日本の保険制度への「タダ乗り」としか見えないケースもあるという。
なお、日本で医療サービスを受けたい外国人患者は、国に登録審査された身元保証機関の資格を持つ「医療渡航支援企業」もしくは「国際医療コーディネーター」に依頼するようだ。そうした存在が、病院と患者の橋渡し役となるわけである。
両者の違いは、前者は「大手企業」、後者は時に個人で経営する「中小企業」ととりあえず思っていただきたい。
私たちが海外旅行に行く時のことを考えてみてほしい。
大手旅行会社のパックツアーなら価格の割に内容充実で至れり尽くせりだが、客の個別のニーズにすべて応えるのは難しかろう。行った先の国で医療サービスを受けたいと思えば自力でなんとかするしかないが、途方に暮れないだろうか。どこの病院に行けばいいのか。どうやって予約すればいいのか。言葉はどうすればいいのか。日数は。費用は。それをまるっと引き受けてくれるのが「医療渡航支援企業」だ。一方、飛行機や宿泊先は患者や家族が手配する、半個人旅行のような場合は「国際医療コーディネーター」を利用することが多い。(134〜135ページより)
気になるのは、国際医療コーディネーターを名乗るにあたり特別な資格は必要ないという点だ。事務所も持たず、旅行業の資格(旅行業法の旅行業登録)すらない国際医療コーディネーターも存在する。いわば「ブローカー」だ。
医療渡航支援企業にしても、経済産業省の登録審査をクリアするだけでよいらしい。