贅肉をそぎ落とした、圧倒的な力を持つ作品
「私にとって宇宙は生命、目的、意志にまったく欠け、敵意すらないものだった。宇宙は一個の巨大な、そして生命のない、果てしない蒸気機関車であり、死物の無頓着さをもって回転し、私をばらばらにひきつぶした」
この小説が書かれたのは、若者が徴兵されてベトナム戦争へと送られていた時代。それを思えば、この一節を冒頭に持ってきたのも納得がいく。
だが小説は、荒削りなアイデアと登場人物たちの内面的なモノローグがてんこ盛りになっているせいで「死物の無頓着さ」を実感しづらい。その点、ローレンスとモルナーは惰性で続いているような悪をうまいさじ加減で「蒸気機関車」として描くとともに、そんな悪と人間との戦いの映画を作り上げた。
映像化されたキングの作品は多々あれど、これほど贅肉をそぎ落とした、圧倒的な力を持つ作品はここしばらくなかったと思う。
©2026 The Slate Group
THE LONG WALK 『ロングウォーク』 監督/フランシス・ローレンス 主演/クーパー・ホフマン、デービッド・ジョンソン 日本公開は6月26日
イランが有利に見える14項目の覚書にはアメリカとの「談合」が隠されている