バーナム氏の「マンチェスター主義」とは

労働党内の集団心理が退陣へと傾いた以上、もはやスターマー氏が首相の座にしがみつく道はなきに等しい。自ら「マンチェスター主義」と称するバーナム氏の思想は政権の方向性を大きく左傾化させるリスクを孕んでいる。

中央集権的な「ホワイトホール(官庁街)」からの権限委譲、公共投資による地方の再工業化を掲げる。エネルギー、水道、鉄道の「再国有化」を明言しており、市場原理主義を徹底したサッチャー政権の「新自由主義革命」以降の民営化路線の逆転を試みるとみられている。

バーナム氏の政策は次の通りだ。市場の混乱と自国通貨ポンド下落を警戒し、財政規律を順守する姿勢を見せる。しかし長期的には低所得者層向け10%税率と高所得者層向け50%最高税率の所得税改革や富裕層の資産・土地を狙った「土地税」導入による地方への財源移転を唱える。

首相になれば「耳の痛い」ことも有権者に言わなければならない

最大の争点の一つ、移民問題では「不法移民の迅速な拘束と送還の強化」を打ち出す。かつてはEU再加盟を公然と支持していたが、補選では「単一市場や関税同盟への復帰は目指さない」とする現政権の路線を踏襲。国防費の引き上げは福祉予算の「効率化」で賄うという。

住宅対策として400億ポンド規模の公営住宅建設と家賃統制を掲げ、単純小選挙区から比例代表への移行や、上院廃止と地域代表院の新設を主張している。しかしマンチェスターという「地方」での成功が「全国区」での勝利に直結するかどうかは分からない。

「北の王」から全国指導者に脱皮する過程でバーナム氏の純好感度は統一地方選直後のプラス4からマイナス11に急落。「有権者にとって耳当たりの良い言葉を投じること」に長けているバーナム氏も首相になれば「耳の痛い」ことを言わなければならなくなる。

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