Gabriel Stargardter

[エビアン(フランス) 17日 ロイター] - 主要7カ国(G7)首脳は17日、フランスのエビアンで開催された首脳会議(G7サミット)で、先端人工知能(AI)のリスクと機会を巡る連携を一段と強化することで一致した。マクロン仏大統領は、米国の主要な人工知能AIモデルへのアクセス拡大について、今後数週間で進展があるとの見方を示した。

G7首脳会議では併せて、米AI開発企業アンソロピックなどが手掛ける米国製の先端AIモデルへのアクセスを米国以外の国にも認める「信頼できるパートナー」制度の創設についても協議した。

アンソロピックの最先端AI「ミュトス」は、サイバー防御を強化するためコードの欠陥を発見する目的で開発された。だがサイバーセキュリティーの専門家は、このモデルが本来守るはずのシステムそのものへの攻撃を逆に増幅しかねないと懸念している。トランプ米大統領は先週、安全保障上の懸念を理由に、外国人による先端モデルへのアクセスを遮断するようアンソロピックに指示した。

この動きを受けて、「信頼できるパートナー」制度の創設を巡るG7の協議が活発化した。同制度は、米国の制限を回避する道を開く可能性がある。ロイターは16日、「信頼できるパートナー」は国または企業が対象となり得ると報じた。対象となれば、中国などの競合相手に対抗するため、より強固なサイバーセキュリティー防御を構築する目的でこれらのモデルを利用できるようになる。

<AI規制>

マクロン氏は、ミュトスを広く利用可能にすることは米国の利益にもかなうと指摘。いつアクセスを遮断されるか分からないとの懸念があれば、誰も米国製AIを購入しないだろうと述べた。

欧州は、主権の強化と米国の技術・安全保障への依存低減を進める一方で、クラウドコンピューティングや半導体設計、最先端のAI研究を支配する米テクノロジー企業が主導する技術進歩にも遅れずについていくという、難しいバランスに苦慮している。

6月15─17日に開かれたG7サミット最終日に出された共同声明で、首脳らは、最先端AIモデルが金融の安定や生産性、労働市場にどのような影響を及ぼし得るかを評価する作業を、財務当局者や規制当局、サイバーセキュリティーの専門家に委ねるとした。

AI開発を手掛けるアンソロピックやオープンAI、グーグルのAI幹部は17日、G7での昼食会に出席し、規制やAIインフラについて話し合った。

昼食会で、オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)はG7に対し、AIのガバナンスで主導権を握るよう促した。AIが有用かどうかを巡る議論は終わったとし、はるかに強力なシステムが今後登場し、世界経済や科学的発見の在り方を一変させる可能性があると指摘。ただ、その統治方法を決めるのはAI企業ではなく民主主義国家の政府だと主張した。

アルトマン氏は「われわれのようなAIラボに責任を委ねてはならない」とし、「われわれが技術を開発し、自由世界の市民がルールを作る」と述べた。

<欧州、適切なバランスを模索>

欧州の政策当局者は、AIを経済・安全保障上の問題と位置づける傾向を強めている。欧州委員会は最近、AI「ギガファクトリー」と大規模なコンピューティングインフラの計画を発表した。これは域内にコンピューティング能力への主権的なアクセスを提供することを狙ったものだ。

欧州は米国の競合相手に数年遅れを取っているとの指摘もある中、欧州委は、域内のクラウド、AI、半導体産業を後押しし、米巨大テック企業への依存を減らすための法案を提案している。

欧州委員会のフォンデアライエン委員長はAI企業幹部らとの昼食会で、EUが最良のAIモデルを利用することは米国とEU双方の利益になるとの考えを示すとともに、強力な新モデルの導入に際してAI企業に責任ある行動を求める米政府の姿勢を評価。

「われわれは互いの信頼できる技術を利用しており、金融システムも相互に結びついている」と述べた。

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