Ann Saphir
[17日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が17日に公表した金利・経済見通しによると、政策担当者の半数近くが、政策金利を現行水準に据え置くだけでは物価上昇率を2%の目標まで押し下げるのに不十分との見方に転じた。イラン戦争後の原油価格急騰を受けた。
それによると、FRBの政策担当者19人のうち9人が、年内の利上げが必要になると考えている。FRBは16─17日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を3.50─3.75%に据え置くと決定した。
9人のうち6人、つまり委員会全体のほぼ3分の1は、年内に0.25%ポイントを上回る利上げが必要になるとみている。
一方、8人は金利据え置きが妥当と考えており、0.25%ポイントの利下げが適切としたのはわずか1人だった。1人は金利見通しを提出しなかった。氏名は公表されていない。
こうした見解は、FRB内部の議論がいかに急速に転換したかを示している。これまでは利下げに踏み切る前にどのくらい金利を据え置くかが焦点だったが、足元では燃料価格の上昇が基調的な物価上昇圧力に幅広く波及するのを防ぐため、利上げが必要になるとの見方が強まっている。一部担当者の間では確信となっている。
世界の原油価格は、イランと米国が紛争終結とホルムズ海峡経由の原油輸送再開で合意したと発表した先週以降、大幅に下落している。ただ、海運と原油輸出がどれほど早く回復するかは不透明だ。3カ月に及ぶ戦争でエネルギー施設が被った損傷を踏まえると、先行きは見通しにくい。
FRBの政策担当者は通常、提出する見通しの内容を公表直前まで書き直すことができるため、今回の見解は中東情勢の最新動向を反映しているとみられる。
物価上昇率はFRBが目標とする2%を5年余りにわたって上回り続けている。
今回の見通しによると、FRB幹部は3月時点と比べてインフレ見通しに対して悲観的になっており、これは戦争開始以降の物価上昇率の急上昇を反映している。
個人消費支出(PCE)価格指数で見た年末の物価上昇率は、政策担当者の予想中央値で3.6%となった。3月時点では年末のPCE物価上昇率を2.7%と見込んでいた。
変動の大きいエネルギー・食品価格を除いたコアPCE物価上昇率は、従来の2.7%から3.3%への上昇が見込まれている。
年末の失業率は4.3%と予想されており、これは5月の実績値と一致し、3月時点の予想4.4%を下回る。この予想は、労働市場は弱含んでおらず、利下げによる支援も必要としていないとの自信が強まっていることを示している。年初には一部の政策担当者がそうした懸念を表明していた。
国内総生産(GDP)成長率は今年2.2%と見込まれている。3月時点の2.4%予想から下方修正された。