オリエント工業の市場構造を崩した中国企業

「主力の欧米向けはバストとヒップが大きく、あり得ないほど脚が長いような、人間離れしたスタイルが好まれる。日本向けは全く異なり、本物の人間らしさが重要だ。ポイントは既製服を着られるかどうか」

セックストイとしての用途だけでなく、家族として一緒に暮らすというニーズも存在するという。

「次はバストも触って」と、劉CEOに促された。取材の様子を見学するやじ馬が集まるなかで、恥ずかしさをこらえて触ってみると……柔らかい!

「胸部にはジェルが充塡されている」と、劉CEOはにんまり。軽くたたくとバストが揺れる構造になっている。ラブドール侮り難し、イノベーションの塊だ。

技術力に自信を持つアイアンテック・ドールの劉CEO

技術力に自信を持つアイアンテック・ドールの劉CEO TORU HANAI FOR NEWSWEEK JAPAN

「中国製ラブドールは近年、大きくクオリティーを上げている」と話すのは、ラブドール輸入代理店クマドール(KumaDoll)の趙成文(チャオ・チョンウエン)社長。群馬県のプラスチック成型工場で働いた経験があり、日本語が堪能だ。

中国に帰国後は日本語通訳として働いていたが、結婚を機に起業を決意、ラブドール関連のビジネスを始めた。アイアンテック・ドールをはじめ、複数の中国ブランドの製品を扱っている。

かつて高級ラブドールと言えば、オリエント工業など日本企業のシェアが高かった。その市場構造を崩したのが中国企業だ。日本のシリコン製ラブドールは100万円近い製品もあるほど高額だったが、中国企業は安価なTPE(熱可塑性エラストマー)を使った10万円前後の低価格品で市場を席巻していった。

「TPEドールは安さが売り。ただ、裂けやすい、油分が表面に浮き出る、色落ちするため着色や書き込みができないなどの欠点があった。リアルさでもシリコンには劣る。そこで中国企業は近年、オールシリコンの人形製作に乗り出している」と、趙社長は説明する。

日本の有名セクシー女優の再現ラブドールも
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