Parisa Hafezi Phil Stewart
[ドバイ/ワシントン 15日 ロイター] - 米国とイランは15日、和平の枠組みで一致したと明らかにした。2月末に始まった戦争の終結、米国によるイランの港湾封鎖解除、ホルムズ海峡の開放などが含まれる。同海峡を通じた原油輸送が再開すれば、エネルギー価格低下につながる可能性がある。
トランプ米大統領は米東部時間14日午後5時30分(日本時間15日午前6時30分)ごろ、自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に「イラン・イスラム共和国との合意が完了した」と投稿した。
仲介役を務めてきたパキスタンのシャリフ首相もこれに先立ち15日未明に合意成立を発表。Xへの投稿で、合意は19日にスイスで正式に署名される予定だとした。
詳細な内容は直ちには明らかになっていないが、シャリフ氏は合意について「レバノンを含む全ての戦線での軍事作戦の即時かつ恒久的な終結」を求めるものだと述べた。
これまでの交渉ではレバノン問題も懸案の一つとなっており、イスラエルとレバノンの親イラン組織ヒズボラはここ数週間、攻撃の応酬を続けていた。
イランの最高安全保障委員会事務局は声明で、レバノンを含む全ての戦線での戦争と軍事作戦が15日夜から恒久的に終了すると表明した。
<ホルムズ海峡再開へ>
トランプ氏は、イランが数カ月にわたって事実上封鎖してきたホルムズ海峡が19日に再開されると述べ、イランの港湾に対する米国の封鎖も解除するよう命じたと明らかにした。
この報道を受けて原油価格は下落。北海ブレント先物は16日アジア時間の序盤で4%下落し、米WTI先物は4.6%超下げた。
バイデン前政権で国務省報道官を務めたマシュー・ミラー氏は、トランプ氏が戦争開始前の状態を回復するためにイランに対して重大な譲歩を行ったと指摘。「核計画が今後対処されるという保証はない一方、イランは世界経済を人質に取り、米国から見返りを得られることを世界に示した」と述べた。
イランのガリババディ外務次官は、制裁緩和を含むより包括的な合意を60日間の停戦期間中に交渉すると述べた。関係筋が先にロイターに明かしたところでは、イランの核計画についても今後の協議で扱われるという。
イラン強硬派の代表格である共和党のグラム上院議員は合意を称賛しつつ、イランの核計画を巡る今後の交渉を「注意深く見守る」と言明。「米国の法律の下では、イランとのいかなる核合意も議会の審査と採決を受けることになる」と述べた。
<イスラエル軍の攻撃>
合意発表に先立ち、イスラエルは14日、ヒズボラを標的にレバノン首都ベイルート南部を空爆した。イランは「強力な対応」を警告し、トランプ氏も攻撃を批判した。
イランの交渉担当者、ガリバフ国会議長はこの攻撃について、米国が約束を果たす意志や能力を欠いていることを示していると指摘。軍最高司令部は「敵の心臓部」を撃つため「引き金に指がかかっている」状態だと表明した。イラン外務省は、イスラエルによるレバノン攻撃の責任は米国にあるとした。
トランプ氏は投稿で「今朝のベイルート攻撃は起きるべきではなかった。イランとの和平合意に非常に近づいている特別な日にはなおさらだ」と指摘。その上で「われわれはレバノンを含む地域に平和をもたらす合意に非常に近づいており、全ての当事者は手を引くべきだ」とした。
イスラエルのネタニヤフ首相は、米・イランの和平合意のためにイスラエルがレバノンでの軍事行動を抑制すべきとする米側の要求を巡り、トランプ氏と見解を異にしてきた。イスラエルメディアによると、トランプ氏は15日の電話会談でネタニヤフ氏に和平合意の進展について伝えたという。
<合意内容>
イラン高官は先にロイターに対し、合意草案では米国が250億ドルのイラン凍結資産の解除に同意する一方、イランは核兵器の製造・取得を行わないことに同意すると説明した。最終的な合意は双方の同意後60日間で協議されることになっているという。
米当局者は15日の発表前、合意は最終的にイランの核計画の解体につながり、高濃縮ウラン備蓄は破壊・搬出されると述べた。一方、イラン高官は、濃縮ウランをイラン国内で希釈することを認めるものになると語った。