[フランクフルト 11日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は11日、政策金利である中銀預金金利を2.0%から2.25%に引き上げた。2023年9月以来の利上げとなった。
ラガルドECB総裁の理事会後の記者会見での発言は以下の通り。
<インフレの広がり>
インフレが経済全体に広がりつつあることが見え始めている。直接的な影響だけでなく、間接的な影響という観点からも言える。現時点では二次的効果の前段階には至っていないが、われわれは細心の注意を払う。
例えば、納期や供給のスムーズさが損なわれ始めているのを見れば、当然、こうした補助的な指標にも注意を払い、事態がどこに向かっているかを把握する。
<目標を上回らせてはならない>
われわれの(利上げの)決定は妥当なものだ。仮にこの極めて明白な金融政策の決定を行わなければ、われわれが予測の対象とする中期の終わりには、目標を上回る水準に達してしまうだろう。
<中立金利>
われわれは中立金利についても、中立金利の範囲についても議論していない。
<金利決定に関する詳細>
われわれが下した決定は「強引な」決定ではない。25ベーシスポイント(bp)の利上げは、明らかにシグナルであり、われわれが直面している経済状況、乗り越えようとしている不確実性を鑑みると、必要な決定だ。
ECBが「保険的な決定」、つまり「予防的な金利決定」を行うだろうという話をあちこちで読んだが、それはわれわれの議論とは全く異なる。
われわれの協議は、言うまでもなく、3月初旬から観測されている深刻なエネルギーショックを前提としており、このショックは地政学専門家の予想よりも長く続いており、経済全体に広がり始めている。われわれはこの深刻なエネルギーショックのさらなる影響を注意深く監視していく。
<全会一致の金利決定>
政策金利の25bp引き上げ決定は、全会一致で、何の留保もなかった。他の代替案については一切議論も検討もしていない。
<エネルギー価格とインフレ期待を綿密に監視>
エネルギー価格が高止まりする期間が長ければ長いほど、間接的および二次的な影響を通じて、より広範なインフレを押し上げる可能性が高くなる。
したがって、われわれはエネルギー価格の上昇規模と持続性、そしてそれが価格や賃金の設定、インフレ期待、そして経済全体の動向にどのように影響するかを綿密に監視していく。
<基調インフレ率>
エネルギーショックの影響で、基調インフレを示す指標の一部は既に上昇している。短期的なインフレ期待は、中東戦争勃発前の水準を大きく上回っている。同時に、長期的なインフレ期待を示す指標のほとんどは2%前後で推移しており、中期的にインフレ率が目標水準付近で安定することを裏付けている。
エネルギー価格の上昇は、夏の間インフレ率をさらに押し上げ、2027年前半まで目標値を大幅に上回る水準で推移するだろう。
<戦争による成長下振れリスク>
成長見通しに対するリスクは下振れ方向にある。主な原因は中東での戦争で、これが不安定な世界情勢をさらに悪化させている。エネルギー供給の長期的な混乱は、エネルギー価格を現在予想されているよりもさらに、そしてより長く上昇させる可能性がある。
これらの要因は実質所得をさらに低下させ、企業や家計が投資や支出に消極的になることを余儀なくするだろう。
主要な海上輸送ルートの閉鎖によって重要な原材料が深刻に不足し、ユーロ圏企業が生産量を削減せざるを得なくなった場合、経済成長への悪影響はさらに深刻化するだろう。
世界的な金融市場のセンチメント悪化や信用供与の逼迫は需要を抑制する可能性があり、国際貿易におけるさらなる摩擦はサプライチェーンの混乱を招き、輸出の減少、消費と投資の弱体化につながる可能性がある。
<賃金上昇>
ECBの賃金動向調査と賃金見通しに関する調査結果は、賃金上昇率が今年中に鈍化する見込みであることを引き続き示唆している。
<デジタルユーロ>
デジタルユーロに関する規則を速やかに採択することが不可欠だ。
<製造業と労働市場>
製造業は今のところ堅調に推移している。これは、企業がサプライチェーンの逼迫に対応するために在庫を積み増してきたことが一因である。また、国防費の増加も反映している。
労働市場は依然として堅調だ。4月の失業率は6.3%で、過去最低水準に近い水準を維持している。第1・四半期には雇用が増加したが、そのペースは25年第4・四半期よりも鈍化した。
労働需要はさらに冷え込み、企業や家計は労働市場の弱体化を予想している。
<景気減速を示唆>
中東での戦争は経済活動に重くのしかかっており、指標は特にサービス業において景気減速を示している。