筋トレといえば、長らくバーベルやマシンといった外部負荷を使って「大きな筋肉」を作ることを指していた。しかし2010年代前半から、自分の体重を負荷にして「連動しながら自由に動く筋肉」を作る「自重トレーニング」に注目が集まっている。
例えばジャック・ドーシー(Block共同創業者)、ナヴァル・ラヴィカント(投資家)、パーベル・ドゥーロフ(Telegram創業者)といった現代を代表する起業家や投資家、そして医療関係者の中でも自重トレーニングを実践する人が増加。日本でも10年代半ば頃から関心を集めている。
その自重トレーニングが今、ニューロサイエンス(脳科学)の分野でも注目を集めている。筋肉に抵抗(レジスタンス)をかけるレジスタンストレーニングが「脳の運動」になり得るというのだ。
昨年のシステマティックレビューとメタ分析によって、レジスタンストレーニングが、全体的認知機能や言語記憶などを有意に改善することが明らかになった。別の研究では、神経可塑性、学習、記憶に関わるBDNF(脳由来神経栄養因子)が増加する可能性も報告されている。
自重トレーニングには、体幹の安定性やバランス制御、空間認知を伴う動作が多い。そのため特に神経系の活性化を促すとされる。この複数の筋群を連動させる動きが、神経適応を引き起こし認知力を刺激する可能性が指摘されているのだ。
次のページ