[北京 10日 ロイター] - 中国国家統計局が10日発表した5月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比3.9%上昇と、3カ月連続のプラスで、2022年7月以来の高い伸びとなった。消費者物価指数(CPI)も高水準を維持し、世界的なエネルギー価格の高止まりが製造業者や家計のコストを引き続き押し上げていることが示された。

中東紛争に伴うコスト圧力の高まりは企業利益を圧迫し、内需を一段と冷え込ませる恐れがある。一方、世界的な人工知能(AI)関連需要が一部業種を下支えしている。

先端分野以外の製造業にとって、投入価格の上昇を消費者に転嫁するのは引き続き難しい状況で、雇用市場の下支えや内需押し上げに取り組む政策当局が直面する逆風が浮き彫りになった。

PPI上昇率は予想の3.8%を上回り、4月の2.8%から加速した。

エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのシニアエコノミスト、シュー・ティエンチェン氏は「AIなど需要が堅調な業種では、企業は投入コストの上昇を転嫁できるほか、最終消費者に価格を上乗せすることも可能だ」とした一方、自動車などの業種ではそうはいかないと述べた。

統計局は声明で、計算能力に対する需要拡大がPPI上昇に寄与したとし、非鉄金属の精錬・圧延加工や電子機器製造の各業種で価格が上昇していると指摘した。

PPIは前月比では0.5%上昇。4月の1.7%上昇から鈍化した。

米国とイスラエルが2月下旬にイランへの攻撃を開始して以降、エネルギー価格は急騰。ホルムズ海峡の事実上の閉鎖で湾岸からの石油・天然ガス供給の混乱が続いており、コスト圧力は当面続く可能性が高い。海峡が再開されても、供給再開には時間がかかるとみられる。

エネルギー価格の上昇を背景に、PPIは3月に前年比でプラスに転じた。22年9月以来のプラス転換で、長年続いたデフレ状態を脱した。

ただ、生活費の上昇が既に低調な家計の裁量的支出の意欲を一段と冷え込ませる中、中国経済の需給不均衡は悪化する恐れがある。

<ガソリン価格がCPI押し上げ>

CPIは前年比1.2%上昇。伸び率は前月から横ばいで、予想の1.3%を下回った。統計局によると、主にガソリン、金製品、サービス価格の上昇が寄与した。前月比では0.1%下落し、予想と一致。4月は0.3%上昇していた。

食品価格は前年比1.7%下落。豚肉価格は16.1%下落した。国内ガソリン価格は前月比で下落したものの、前年比では23.5%上昇した。

INGのグレーターチャイナ(大中華圏)担当チーフエコノミスト、リン・ソン氏は「食品と不動産価格が今のところ総合インフレ率を抑制している。ただ、より広範な物価上昇はデフレから低インフレ環境への移行を示唆している」と述べた。

一方で、若年層の失業率の高さやAIの進歩に伴う労働者の雇用不安を踏まえ、物価の勢い加速が賃金上昇につながる可能性は低いとした。

ANZのアナリストは今回の統計を受け、今年のPPIの予想を0.8%から2.0%に引き上げた。CPIの予想については、上流から下流への波及が限定的だとして、1.2%に据え置いた。

変動の大きい食品・燃料価格を除くコアCPIは前年比1.1%上昇した。

キャピタル・エコノミクスのアジア太平洋地域担当シニアエコノミスト、アビジット・スーリヤ氏は「先行きを巡る不確実性の主因は中東情勢と世界のエネルギー市場の動向だ」としつつ、「われわれの基本シナリオでは、供給混乱が徐々に和らぐ中で、消費者物価の上昇はほどなく落ち着くはずだ」と述べた。

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