先頃インドを訪問したルビオ米国務長官は、予想どおりインドをアメリカの「最も重要な戦略的パートナー」の1つと持ち上げた。両国は共通の価値観と「人と人の結び付き」を持ち、「新たな世紀のあらゆる重要課題」で戦略的に一致しているというのだ。だが近年、こうしたお決まりの表現は、空虚に響くようになってきた。

トランプ米大統領の公然たる侮辱や関税の武器化は、米印関係に大きな打撃を与えてきた。だが、昨年トランプが大統領の座に返り咲く前から、両国関係は緊張していた。中国の戦略的影響力拡大により、アジア太平洋地域におけるインドの地位は着実に侵食されてきた。そしてアメリカはそんなインドの裏庭とも言える場所で、インドの利益を軽視し、時には真っ向から対立する政策を進めてきた。

その典型が、24年のバングラデシュ政変への対応だろう。若者を中心とする反政府デモを軍が支持したことで、シェイク・ハシナ首相(当時)が失脚すると、アメリカはこの政変を支持した。

だが、インドはそこに重大なリスクがあることを理解していた。実際、現在のバングラデシュはイスラム主義勢力による暴力に揺れ、インド国境の安全を脅かしている。

トランプは状況をさらに悪化させた。その最たる例がパキスタンとの関係強化だ。パキスタンは今も、テロ組織に潜伏場所を提供し、軍事支援も行っている。それなのにトランプ一族や関係者は、同国で大きな利益が見込まれる事業契約を結んだ。

アメリカは長年、中国が地域覇権を握るのを阻止する民主主義の防波堤としてインドを位置付けてきた。その一方で、アメリカは、インドが地域覇権を握ることを許そうとはしない。

アメリカは地域大国の台頭を許さない