2 グローバルなエネルギー市場
報道どおりなら、この合意によってホルムズ海峡の海上輸送は1カ月以内に戦争前の水準に戻る。世界の化石燃料輸送の5分の1がこの海峡を通過しているから、市場関係者は胸をなで下ろすだろう。ガソリン価格が最大50%も上昇したアメリカをはじめ、原油価格の急騰に苦しむ消費者と企業も一息つけるはずだ。
金融市場の動向に詳しいコメンテーターのスザンナ・ストリーターは小競り合いが続くなかでも、市場は合意成立を期待し続けていたと本誌に語った。
「湾岸諸国が和平実現をアメリカに強く求めていることに加え、アメリカでは11月の中間選挙に向けて既に予備選が始まっている。時間がかかるにしても、何らかの解決策がまとまるだろうとの期待感がある」
3 トランプ政権
ドナルド・トランプ米大統領は5月23日、自身のソーシャルメディアへの投稿で、合意は「大筋で交渉済みだ」と述べた。イラン側はこれを否定するような発言をしたが、戦争終結に向けた合意は中間選挙を控えたトランプにとっては政治的に大きな意味を持っている。
国際社会の非難が高まるなか、これ以上戦争を長引かせるのはどう見てもまずく、戦闘拡大を回避できるに越したことはない。和平合意がまとまれば、支持率回復を見込める上、「ピースメーカー」としての実績をアピールできる。
その一方で「取引の達人」を自任するトランプは、イランとの合意は高い基準を満たす必要があり、期待に届かなければ交渉を打ち切る可能性もあるとほのめかしている。
トランプは閣議で、イスラエルとアラブ諸国の国交正常化に向けてアメリカが仲介した「アブラハム合意」に参加する国が増えない限り、イランとの「合意を結ぶべきかどうか分からない」と発言。サウジアラビアやカタールなどに参加を「強く求めている」と語ったが、各国の参加をイランとの合意に応じる条件にするとは明言しなかった。