<零細事業者の犠牲と、利便性の代償としての定価・高額販売に支えられてきたコンビニエンスストアという特殊モデルが立ち行かなくなっている>
コンビニの生みの親と呼ばれた、セブン&アイ・ホールディングス(HD)名誉顧問の鈴木敏文氏が死去した。くしくも同じタイミングで、日本の生活インフラに成長したコンビニが大きな転換点を迎えつつある。
日本におけるコンビニ全体の売上高は12兆円を超えており、小売業界における存在感は群を抜く。日本国民のほぼ全員が利用するサービスとも言えるが、逆に言えばコンビニの将来は日本の人口動態に直結している。
全体の店舗数は現時点では何とか横ばいを保っているものの、大手3社で90%以上のシェアを持つ典型的な寡占市場であり、成長の限界が来ていることは明らかだ。客数は前年比マイナスとなる月が多くなっており、人口減少を相次ぐ値上げでカバーする図式が続く。
コンビニはもともと、セブン(当時はイトーヨーカ堂)の鈴木氏らが大店法(大規模小売店舗法)の網をくぐり抜ける目的でつくり上げた業態で、そもそも収益を上げにくい構造だった。店舗面積が狭く運営コストが高いことをカバーするため顧客を大量来店させ、値引きせずに販売しなければ事業として成り立たない。
コンビニが定価でしか販売しないことや、24時間営業を基本としていたこと、店舗照明が異様なまでに明るいこと、近隣に何件も同じ店舗を出店していること(ドミナント戦略)など、ある種、異形のビジネス形態となっていたのは、コンビニ事業の特殊性に由来している。
さらに言えば、店舗の多くがフランチャイズであることも特徴的であった。実際に店舗経営を行う零細事業者の中には低収益に苦しむところも多く、あえて言葉を選ばずに言えば、店舗運営に携わる零細事業者の犠牲と、消費者が利便性の代償として高い買い物を強いられることにより成り立ってきた業界と言えよう。