日本企業と日本政府が今後取るべき方向性とは?

さらに、商務省承認のオンショアリング計画があれば20%、オンショアリング計画と保健福祉省との最恵国待遇価格合意を組み合わせれば2029年1月20日まで0%とする経路も設けられている。日本の製薬企業にとって、これは単なる関税問題ではなく、生産拠点、価格政策、米当局との関係を含む長期戦略の問題である。

以上を踏まえると、日本企業と日本政府が今後取るべき方向性は明確だ。第1に、122条の期限が切れるという点だけで安心するべきではない。実際には、232条と301条を中核とする、より持続的で、より分野別・個別品目別の関税体制が形成されつつある。

第2に、税番分類、金属原産地、払戻し申請、301条対応、医薬品の経路選択といった個別のテーマについて、文書で示せる形にしておくことである。米政府内の人事が変わっても、政策が急速に進んでも、最後にものをいうのは文書である。

第3に、政策決定から実務義務発生までの時間が極端に短くなっている点を前提に、総合商社、銀行、海運、製造業を含む関係企業は、体制を強化・再設計する必要がある。トランプ大統領が4月2日に署名した大統領令が、4月6日に発効するまでわずか4日しかなかったこと自体が、その現実を端的に物語っている。

7月24日は、122条が失効する日であると同時に、ポストIEEPAの米国通商体制が232条と301条中心の枠組みに収れんしていくのか、それとも、大統領の関税権限をめぐる控訴審の行方次第で当面不安定な状態に置かれるのか、その分かれ目でもある。日本企業は、4月6日以前に持っていた前提の多くがもはや通用しないことを踏まえ、残された時間の中で戦略と体制を練り直す必要がある。

IGSI(国際インテリジェンス戦略研究所)

インテリジェンスとサイバーセキュリティを中心に国際情勢の分析やセキュリティ評価、脅威インテリジェンスなどを提供するシンクタンク。東京を拠点に国際的な情報機関やサイバー機関の関係者らの経験と知見を集結した分析を提供。

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