「これをすれば100%安全」という正解はない

専門家からすれば、ごく一部のクマが特異な行動を取っているだけとしか考えられないようだ。センセーショナルなメディアの伝え方とは相反しているわけである。

とはいえ、人間への警戒心の低下、持ち前の好奇心や探索能力、ドングリの凶作に伴う食べ物不足などが重なり合って、これまで想定していなかった場所にクマが出現する可能性も否定できない。

 航空写真で俯瞰すればわかるが、関東平野の周りを山林が取り囲んでいる。現在のクマの分布と重ねると、千葉県と茨城県を除く関東平野を取り囲む山林とクマの分布は見事に一致している。すでに、首都圏の私たちはクマに取り囲まれている。(119ページより)

過剰な報道に惑わされるべきではないものの、現実を受け止め、対策を講じておくべきだということなのだろう。とはいえ、遭遇しないように気をつけていても、運悪く出遭ってしまうことも考えられる。

著者も「クマに出遭ったらどうすればいいか?」とよく聞かれるそうだが、残念ながら「これをすれば100%安全」という正解はないようだ。ただし、クマと遭遇した際に人間が避けるべき反応や行動として重要なのは、クマを驚かせないことだという。

 クマは自分自身が生き延びていくため、あるいは繁殖して子孫を残すために、様々なセンサーを備えている。前章で述べたように動体視力が非常に優れていることを考えると、遭遇した場合、あまり急な動きをしないほうがいい。(133ページより)

基本的に、クマが人間を攻撃する主な目的は「防御」だ。子や自分自身を守りたい、その場を早く去りたいといった思いを軸に行動するからこそ人間を攻撃するのである。

不意に人間に出遭ってパニックになったクマは、自分の逃げ道すら見つけられないような状況になっているようなことも多いという。そのため、目の前にいる人間を叩きのけてでも逃げようとするのだ。

クマは学習能力が高く警戒心の強い動物
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