Leika Kihara
[東京 28日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のチーフエコノミストを務めるレーン専務理事は28日、イラン情勢に起因するエネルギーショックについて、紛争が早期に解決したとしても、インフレに持続的な影響を及ぼす可能性が高いとの見方を示した。
東京で開かれた日本銀行金融研究所主催のコンファランスで「世界の原油供給が一夜にして大きく減少した。これまでは在庫によってその影響が覆い隠されてきた」とした上で、「当初のエネルギーショックが反転し始めたとしても、二次的な影響はしばらくの間続くだろう」と述べた。過去には原油価格が急騰した後に元の水準に戻る傾向があったものの、今回は各国が在庫を積み増したりエネルギーミックスの多様化を進めたりすることで、エネルギーコストが高止まりする可能性があり、状況は異なるかもしれないと指摘した。
エネルギーショックが物価を押し上げる中、金融市場ではECBが現在2%の中銀預金金利を2回引き上げることが完全に織り込まれ、今後1年間に3回目の利上げが実施される確率も約50%と見込まれている。一方、ロイターのエコノミスト調査では、2回の利上げの後、2027年半ばに利下げが行われると予想されている。
レーン氏は、過去のエネルギーショックから得られる政策上の教訓として、エネルギーコストの上昇がインフレを急激に押し上げ、価格上昇を広範化させる「あらゆる種類の非線形的な」メカニズムを引き起こす可能性があると指摘した。ただ、「これは4年前に経験したのと同じ非線形性ではない」と述べ、ウクライナ戦争による供給混乱とコロナ禍後の旺盛な需要がインフレを押し上げた当時の状況とは異なるとの認識を示した。
レーン氏は、中央銀行は重大なショックとインフレへの潜在的な影響を認識する必要がある一方、金融政策の運営において過剰反応を避けなければならないと指摘し、「金融政策の波及、消費者信頼感、こうしたさまざまなメカニズムを見極める上で巧みであらねばならない」と述べた。
供給ショックによるインフレ圧力の一部は時間とともに沈静化するものの、中央銀行にとってはインフレが長期にわたって高すぎる水準にとどまるという認識が、国民や価格設定部門に根付くことのないようにすることが重要だと強調した。