1つ確かなのは、彼が自分の仕事やイメージを守ることに執着していたことだ。『ピアノ』のような未加工の音は決して発表しない完璧主義者だった。

従って、今回のアルバムも多くの人を魅了する一方で、ファンサイトなどでは議論が白熱しており、プリンスの思いを無視していると主張する人も少なくない。あるレビューは、本人が聴いてほしいと思わなかったかもしれない歌を聴いて喜ぶ後ろめたさを、「死後ののぞき見」と呼んでいる。

プリンスの思いを尊重することは、「(音源の)発表をめぐる議論で何よりも重視している」と、ハウは強調する。「芸術的に最高レベルのものしか発表するつもりはない」

『ピアノ』の好調な売れ行きと絶賛の評価を考えれば、今後もアーカイブの音源がさまざまな形で発表されるだろう。

「録音したものの最終的に採用しなかった音源も、その多くがほかのアーティストの最高傑作より素晴らしい」と、ハウは言う。プリンスにとっては、ほんのおまけのようなものだったかもしれないが。

<2018年11月20日号掲載>

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