アメリカがAI競争で負けると壊滅的な打撃が

こうした中国流のモデルはアメリカのような民主主義国にとって受け入れ難いものだが、産業と国家が強く結び付いていることは、中国に大きな優位をもたらしている。

「アメリカは、政府がこれまで関心を払ってきたモデルと半導体の領域では優位に立っているが、未来を決する領域、すなわちデータと実装では敗北しつつある」と、米スケールAI社のグローバル政策・対政府関係部門の責任者を務めるマックス・フェンケルは言う。
 

中国とのAI競争で敗れれば、世界におけるアメリカの影響力に壊滅的な打撃が及びかねない。この競争の終着点は、チャットボットの改良や工場のスマート化ではなく、人工汎用知能(AGI)──人間に実行可能な知的作業を全て実行できるAI──の開発だからだ。AGIが登場すれば、世界はいま誰も予測できない形で様変わりするだろう。

アメリカと中国の差が最も際立っているのがロボットの分野だ。中国は工場の自動化だけでなく、ヒト型(ヒューマノイド)ロボットの開発と導入でもアメリカに大きく水をあけている。

中国は、15年の時点で既に明確な国家戦略を打ち出し、ロボット産業を重点分野に設定していた。それに対し、アメリカは今ようやく「国家レベルのロボット戦略が必要かどうか」を議論し始めたところだと、国際ロボット連盟のスザンネ・ビーラー事務局長はあるインタビューで述べている。「アメリカは、中国のやり方から学んだほうがいい」

アメリカの自由市場型のモデルは、スピードと創造性を後押しし、世界に君臨するAI産業をつくり上げた。実際、AI分野の初期の画期的な成果の多くはアメリカで生まれた。

アメリカの弱点
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