5月13日、フィリピン議会上院に銃声が鳴り響いた。
騒動の主役はロナルド・デラロサ上院議員。国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出されているデラロサは、逮捕を逃れるために議場に立て籠もっていたが、発砲事件のあと行方をくらました。
この一件は、フェルディナンド・マルコスJr.大統領と、以前は盟友関係にあった有力政治一家、ドゥテルテ家の間で繰り広げられる権力闘争の最新の一幕と見なせる。
13日の発砲事件の前、フィリピン議会ではサラ・ドゥテルテ副大統領の弾劾が最大のテーマになっていた。下院は11日、弾劾手続きの開始を可決。今後は舞台を上院に移し、副大統領罷免の是非を審理する弾劾裁判が行われる。
この弾劾裁判では、汚職やマルコス大統領夫妻らへの殺害脅迫など、複数の容疑が問われる。サラ・ドゥテルテは2024年11月のオンライン記者会見で、大統領夫妻らを標的に「殺し屋」を雇ったと述べていた(ただし、自分が先に殺害された場合のみ殺し屋が行動を起こすとも説明していた)。
サラ・ドゥテルテは28年の大統領選への出馬を表明しているが、弾劾裁判で罷免が決まれば出馬できなくなる。
一方、父親のロドリゴ・ドゥテルテ前大統領は、25年3月、ICCの逮捕状に基づいてフィリピン警察に逮捕された後、ICC本部があるオランダのハーグに移送されて今も拘束されている。大統領在任中に強硬な麻薬撲滅作戦を推進した際、密売人らの超法規的殺害を命じたという容疑がかけられているのだ。
ドゥテルテ政権で警察トップを務めたデラロサ上院議員は、この「麻薬戦争」に関わった疑いで身柄拘束されることを避けるべく、ずっと身を隠していた。