世界最大の備蓄

中国の耐性を支えているのは、積極的な備蓄である。米エネルギー情報局によれば、中国には推定14億バレルの原油が備蓄されている。これは少なくとも3カ月分の輸入需要を賄うのに十分な量だ。

中国は2006年に初の戦略備蓄施設を建設して以降、エネルギー安全保障を念頭に備蓄を強化してきた。そこには、新型コロナウイルスのパンデミックや、ロシアによるウクライナ全面侵攻のような危機がもたらした地政学的変動から得た教訓がある。

中国は国有企業と民間エネルギー企業の双方に備蓄維持を義務づけるエネルギー法を導入し、2025年初めから備蓄を拡大した。国内の燃料需要はピークに近づいているとみられていたにもかかわらず、だ。中国の原油在庫規模は日本の4倍であり、アメリカの戦略石油備蓄の3倍を超えるという。

S&Pグローバル・コモディティ・インサイツのアジア地域コミュニケーション責任者であるメリッサ・タンは、「この長期的傾向の原動力は、中国政府がエネルギー安全保障を強く重視していることだ。安全な原油供給の確保、在庫調整の改善、在庫容量の拡大は、中国の次期5カ年計画でも優先事項であり続ける」と述べた。

「中国の石油需要はピークに近づいている。しかし、中国は依然として輸入原油への依存度が高く、総輸入量も高水準にとどまっている。2025年に原油在庫水準が急速に上昇した背景には、原油価格の軟化と貯蔵能力の拡大もあった」

国際エネルギー機関(IEA)によれば、中国は2024年の世界の石油需要増加分の5分の1未満を占めるにとどまった(2013~2023は60%超を占めていた)。要因としては、中国が製造業主導の成長からサービス主導の成長へ移行したことと、電気自動車の急速な普及が挙げられている。

もう一つの要因は、世界的な石油供給過剰だ。背景には、先進国の消費の伸びが鈍かったことに加え、新たな生産が始まる中でOPECプラス産油国が生産目標の引き上げを決めたことがあった。中国で再生可能エネルギーの導入が進んでいること、石炭の大量利用が続いていること、石油供給源が多様化していることも、同国をさらに守る要因となっている。

中国はどれくらい持ちこたえられるのか
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