英語と中国語では言葉の感覚が異なる
ただし、その奥にはもっと古い政治的な発想がある。4つの「安定」に共通するリズム──制御され、調整され、一定の範囲に保たれる──は、毛沢東時代の「有理、有利、有節(道理があり、有利であり、節度がある)」を想起させる。
これは1940年に中国国民党との闘争における行動原則を表現した言葉で、中国共産党は国民党の強硬派と協力しながら闘うという矛盾が凝縮されている。団結と闘争を同時に進めること。先に手を出さないが、攻撃されたら必ず反撃すること。
そして何より重要なのは、攻撃を押し返したらそこで止まることだ。終わりのない戦いをしてはならない。勝利に酔ってもならない。
この最後の原則は、習の新たな「提法」を読み解く鍵になる。中国共産党の伝統において、「有節」は闘争の対極ではなく、むしろ長期的な闘争を持続可能にするための条件であり、決定的な対決への明確な否定でもあった。
そこには一度の決戦で勝負に出るのではなく、長い競争のペースを保ち、際限なく暴走させないという前提がある。
つまり、英語と中国語では、「戦略的安定」という言葉の感覚が根本的に異なるのだ。アメリカはそこから危機管理の必要性を連想し、中国は制御された競争という国家運営の哲学を見ている。
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