マニュアルを貪り読んだ5年前、そして今も手元にある「最も気高い一冊」
今から五年ほど前、文章術と名乗る書籍はあらかた読んだ。芸人として飯を食うわたしに出版社から小説執筆の依頼があった頃だ。
わたしは何を始めるにもマニュアルが欲しくなる人種で、訪れた本屋の文章技術に関する本が置いてある棚はあらかた歯抜けにしてやった。三十冊は超えていたが一ヶ月のうちに全て読み切った。
五年が経った今、読み返す本は『三行で撃つ』一冊だけだ。一番役に立つからという理由ではなく、この本が最も気高い本だからだと思う。技術論を説く本が多い中、この本は技術を経由して思想に着地する。この本の教えをきっちり守ることは到底出来ていない。けれど、不出来な自分に正しい方向を指し示してくれるから読み返す。
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