戦争拡大に対する「拒否権」は弱体化

米国はこれまで、他の軍事支援の条件として、ウクライナが長距離兵器でロシア深部を攻撃することを禁じてきた。戦争の拡大を抑止するためだ。

米ワシントンの欧州政策分析センター(CEPA)は、バイデン前政権から現在のトランプ政権に至るまで、西側のウクライナ政策をしばしば動かしてきたのは、「エスカレーションへの懸念」だったと分析している。

もし米国がウクライナにモスクワに届く攻撃兵器を与えれば、事態が制御不能に陥り、核武装したロシアと米国の直接対決に発展する危険性が懸念された。それが破滅シナリオなのは明白だ。

とりわけドナルド・トランプ米大統領は、長射程のトマホーク巡航ミサイルのウクライナへの売却に消極姿勢を示してこの方針を強化した。トマホークがあれば、モスクワやロシア深部のその他の標的を、容易かつ効果的にウクライナ軍の射程内に収めることができるからだ。

それは、ウクライナを縛ってきた「依存の罠」だ。ウクライナが軍事力を西側に依存しているため、米国は政治的に最も敏感な攻撃オプションの多くに対して、実質的な拒否権を行使してきた。

米国だけではない。ドイツも、同じ理由から長射程タウルス巡航ミサイルの供与に消極的だった。

しかし、ウクライナは国内生産力を増強してこの罠から抜け出しつつある。まだ部分的ではあるが、依存からの脱却は確実に進行している。

米国は今も、防空システム供給、資金援助、外交を通じてウクライナの戦争遂行を左右している。だが、米国から新たな兵器供与を受けなくてもウクライナが独自の攻撃手段を獲得しつつあるのも事実だ。

長距離ドローンや長距離ミサイルの自給自足を目指すウクライナの取り組みは、成果を上げ始めている。

姿を現したウクライナの長距離兵器
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