児童数と勉強時間総量の分布のズレは、右端の累積相対度数をグラフにすることで視覚化される。横軸に前者、縦軸に後者の累積相対度数をとった座標上に、6つのグループ(G1~G6)のドットを配置し、線でつなぐと<図2>のようになる。

図に描かれた曲線の底が深いほど、児童数と勉強時間総量の分布のズレが大きいこと、すなわち勉強時間が特定のグループに偏っていることを意味する。色付きの面積を2倍したジニ係数で、勉強時間格差の度合いが数値化されると見立ててよい。

このデータで勉強時間格差ジニ係数を算出すると0.5134となる。一般にジニ係数は0.4を超えると偏りが大きいとみなされるので、小6児童の勉強時間格差は常軌を逸して大きいと判断される。

勉強をする子としない子の格差。看過し得ない事態だが、上記のジニ係数には地域による違いもある。対策を立てるに際しては、まずは各地域の状況を知る必要があるだろう。47都道府県別に勉強時間格差ジニ係数を計算し、高い順に並べると<表2>のようになる。

忌々しきことに多くの県で勉強時間格差ジニ係数は高く、19の都府県で0.50、5つの府県で0.55を超えている。最も高い大阪では0.585にもなる。上位には都市圏の県が多いように見えるが、塾通いをする子とそうでない子の違いが大きいのだろう。

その一方で、勉強時間格差ジニ係数が相対的に低い県もある。秋田、岩手、山形の3県では、ジニ係数が0.4の要注意水準に届いていない。秋田では0.3144と低く抑えられている。同県の勉強時間分布を見ると、中間層が厚い山型で、勉強を全くしない子は3.1%しかいない(全国値では17.5%、大阪では27.4%)。

適度な課題を出すなど、家庭で勉強習慣がつくようにする配慮が行き渡っているのだろう。そもそも全ての子どもに勉強習慣を身に付けさせることは、公教育の使命でもある。「どうせ塾に行くのだから」と、放置するようなことをしていないか。都市部の学校は、内省する必要もあるだろう。

自発性や個性の重視、大学全入……。昔と違って、勉強へと駆り立てる外圧が弱まる中、ここで見たような勉強時間格差が開きやすくなっている。苅谷剛彦教授(社会学)が説く「インセンティブ・ディバイド」論にも通じることだ。家庭環境に恵まれない子どもが、(自発的に)勉学から降りていくような状況を放っておいてはならない。

<資料>
文科省「全国学力・学習状況調査」(2025年度)

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【ランキング】全国都道府県の勉強時間格差(小6生)
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