日本の体制は?

──日本の体制は整っているのか。

日本は感染症危機への備えを強化してきた。09年の新型インフルエンザ流行の時に行動計画を作り、新型コロナを経てさらに改善された。

ダイヤモンド・プリンセス号での集団感染は、日本にとって未知のウイルスへの最初期の大規模対応であり、多くの教訓を残した。新型コロナ禍では、PCR検査体制の立ち上がりの遅れ、ワクチンや治療薬の国内開発力をめぐる課題、情報共有の不十分さなども明らかになった。

その経験を踏まえて、現在はかなり体制が強化されている。しかし将来、感染力と致死率がさらに高い病原体が現れた場合、その備えは決して十分とは言えない。

今後、日本にもハンタウイルスが持ち込まれる可能性はゼロではない。デング熱やSFTS(重症熱性血小板減少症候群)のように、気候変動や国際的移動の増加を背景に、新たな感染症が国内で発生しやすくなっている。

重要なのは状況を迅速に見極め、病原体を特定し、根拠に基づき冷静に向き合うこと──すなわち「正しく恐れる」姿勢が求められる。

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國井 修(くにい おさむ)
医師、公益社団法人「GHIT Fund(グローバルヘルス技術振興基金)」CEO。元長崎大学熱帯医学研究所教授。これまでユニセフやグローバルファンドなどの国際機関を通じて、感染症対策の実践・研究・人材育成に従事してきた。新著に『プラネタリーヘルス入門──地球と人類の健康のためにできること』(みすず書房)。

【動画】ハンタウイルスとは? どのようにして広がる?
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