1981年、学校でのアルコール提供は禁止された

かつてフランスではワインは食卓に欠かせない日常飲料であり、過酷な肉体労働を支えるカロリー源でもあった。しかし炭鉱、農業、工場の肉体労働はオフィスワークやサービス業に取って代わられた。アルコール依存症は深刻な社会問題になった。

1956年、14歳未満への学校給食でのアルコール提供は禁止され、81年にはワインやシードルの飲酒は高校で禁止された。91年にはTVや映画でのアルコール広告は事実上禁止され、雑誌やラジオでも広告内容に厳格な規制が課され、青少年向け媒体では完全に禁止された。

「大家族が揃う日曜日の長いランチ」も単身世帯や共働きの増加によって以前ほど一般的ではなくなった。ボトル1本を開けても飲みきれない環境がワイン離れを加速させ、代わりにミネラルウォーターや炭酸飲料、クラフトビール、ノンアルコール飲料が普及する。

過去10年間でボルドーのブドウ畑面積の約5分の1が消失

仏政府はブドウの木の引き抜きを促すため1億数千万ユーロの補助金を投じている。過去10年間でボルドーのブドウ畑面積の約5分の1が消失した。引き抜き政策の最大の理由は生産量と消費量のバランスが崩れたことによる慢性的な供給過剰と価格の暴落にある。

特に打撃を受けたのがボルドー地方などで大量に生産されていた安価なワインだ。 仏国内消費が減ってもブドウ畑は毎年実をつけ、ワインが造られる。結果として売れ残った大量のワインが市場に滞留し、価格が暴落する。

国内消費が減るなら海外へと思っても、チリ、オーストラリア、南アフリカ、米カリフォルニア州などの安価で飲みやすいワインが大量に出回り、フランス優位だった市場を奪ってしまった。ボルドーワインを爆買いしていた中国市場も経済不調で低迷する。

フランスでは地球温暖化でブドウの糖度が増し、アルコール度数が高くなり「重すぎて現代のライトで健康志向の消費スタイルに合わない」というミスマッチを生んでいる。フランスのワイン産業は生き残りをかけ重大な岐路に差し掛かっている。

【動画】フランスで伝統的なワインの消費量が減る一方、ノンアルコールワインの需要も増加…その背景は?
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