第2次大戦後の国際経済秩序に関する定説は間違っていない。だが、大事な点を見落としている。
定説によれば、西欧諸国とアメリカの同盟は戦後すぐに構築された。いわゆるブレトンウッズ体制で、米ドルが世界の基軸通貨となり、国際通貨基金(IMF)と世界銀行の2本柱が世界経済を安定させた。そして戦後の欧州復興を支えたマーシャルプランの終了と東西冷戦の始まり、さらには1958年の欧州経済共同体(現在のEUの前身)発足によって、米欧同盟の結束は一段と強まったとされる。
だが実を言うと、戦後期に3度(56年と73年、そして78~79年)あった石油危機こそ米欧同盟の強化を促す要因だった。おかげで今日まで続く政治・経済秩序の礎が築かれたのだが、その脆弱性の根拠もそこにある。
過去3度の石油ショックはいずれも、植民地支配を脱した新興諸国が石油を「武器」として使い、政治と経済の両面で主権を取り戻そうとする動きの一環で起きた。それは国際社会で数的優位に立つアジア、アフリカ、中南米の新興諸国によるブレトンウッズ体制への挑戦であり、国内経済に対する欧米諸国の影響力を排除しようとする試みでもあった。
現在のエネルギー危機は、こうした過去の試みを締めくくり、戦後秩序を解体するものとなる。それは国際社会におけるアメリカの地政学的・経済的パワーの衰退を一段と加速し、米欧同盟に深刻な亀裂を生じさせた。その修復は容易ではない。
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