<女性はフルタイムで働いても半数以上が年収300万円未満>
数年前に、『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』という本が話題になった。443万円というのは、日本で働く人の平均年収のことかと思うが、この数値が「フツー」の年収と言えるかどうかは怪しい。
年収のように分布が歪なデータの場合、「フツー」を表す代表値としては平均値よりも中央値が望ましい。日本の全有業者6489万人の年収分布から中央値を計算すると301万円(総務省「就業構造基本調査」2022年)。先述の443万円よりだいぶ低いが、こちらのほうが「フツー」の年収に近いだろう。雇用の非正規化が進んでいるだけになおのことだ。
この中には、扶養の範囲内でのパート労働も含まれているが、自活できるだけの賃金を望むフルタイム就業者に絞ったらどうなるか。上記の資料には、「年間就業日数×週間就業時間×年収」のクロス表が出ている。年間250~299日、週40~44時間働いている有業者を取り出し、年収の分布をヒストグラムにすると<図1>のようになる。

400~500万円台あたりに山があるかと思いきや、そうではない。男性のピークは300万円台、女性は200万円台となっている。女性は最頻階級への集中度が高く、4割近くが200万円台だ。
中央値を計算すると男性が420万円、女性が290万円。週5~6日、1日8~9時間働いているにもかかわらず、この水準とは驚く。特に女性の半分以上が年収300万円未満のフルタイム・ワーキングプアだ。フルタイムで働いても、子どもの卒業や入学の費用も工面できないという、シングルマザーの困窮が報じられるわけだ(毎日新聞、2026年4月18日)。