Heekyong Yang Fanny Potkin Hyunjoo Jin
[ソウル/シンガポール 8日 ロイター] - 韓国半導体大手SKハイニックスに対して、世界の大手テック企業がメモリー半導体確保を急ぐ目的で、新規生産ラインへの投資や高額な製造装置購入の資金支援を申し出るなど、積極的な働きかけを行っていることが、関係者の話で明らかになった。
これらの提案は世界のメモリー半導体業界にとって過去に例がない。人工知能(AI)ブームの中で需要急増に追い付こうと苦闘する半導体メーカーが置かれた深刻な世界的供給不足の状況を浮き彫りにしている。メモリー半導体はAIデータセンター、スマートフォン、パソコンなどに欠かせない部品だ。
関係者6人の話では、SKハイニックスの顧客企業がメモリー専用生産ラインへの投資を含むさまざまな提案を行っているという。
別の提案では、顧客がASMLの極端紫外線(EUV)露光装置などの設備購入を資金面で支援する内容も含まれていたと、関係者3人が語った。同装置はシリコンウエハーに回路を印刷するために使われ、1台数億ドルの価値がある。
ただ潤沢な資金を持つSKハイニックスは、こうした顧客からの資金面での約束を受けることに慎重な姿勢を示している。関係者2人は、そのような取引は特定の買い手に縛られることを意味し、より長期的で安定した収益保証が得られる半面、より低価格で半導体を供給する必要が生じる可能性があるためだと説明した。
関係者の1人は「どのような提案であれ、利用可能な生産能力は現状ほぼゼロだ。特定の顧客向けに割り当てられる余地は、わずかでも存在しない」と話す。
別の関係者によると、ある提案はSKハイニックスが韓国・龍仁(ヨンイン)団地に建設中の大規模製造工場の第1期を対象としており、ここではメモリー半導体の一種のDRAMが主力となる見込みだという。
SKハイニックスは顧客との契約条件の詳細についてはコメントを控えたものの、「従来の長期契約とは異なる、さまざまなアプローチや構造的な代替案を総合的に検討している」と述べた。
同社は時価総額で台湾積体電路製造(TSMC)やサムスン電子に次ぐアジアで業界第3位の企業で、AI関連投資への期待の高まりを背景に、今年の株価は154%上昇して過去最高値を記録した。
SKハイニックスに投資提案を行っている世界的なテック企業の具体名は、現時点では明らかになっていない。
こうした提案は、歴史的に極端な好不況サイクルで知られているメモリー半導体業界において極めて異例。SKハイニックスとサムスン電子は先月、AI需要の「構造的成長」に追い付くための生産能力構築には時間がかかるため、現在のメモリー半導体供給不足は継続するとの見方を示した。
SKハイニックスはこの際に「現在の供給制約により、すべての顧客要請に応えるには限界がある」と述べ、数量確保のための長期契約を求める顧客要請が急増していると付け加えた。
メモリー半導体メーカーは複数年契約について、需要の変動を平準化し、数十億ドル規模の投資が必要な循環的な業界における投資リスクを軽減するのに役立つと主張してきた。
しかし顧客が契約を解除しないようどう担保するか、またチップ価格をどう有利に設定するかについては依然として疑問が残る、と業界幹部や投資家、アナリストは指摘している。
サムスン電子は、最近一部の顧客と締結した契約は従来の長期契約とは異なり、「拘束力のある」ものであると述べたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。